巻頭言-まずはじめに
メタバースの世界は実は数年前より、セカンドワールドといったネット上の世界が存在していて、最近急に湧き上がってきたものではありません。
過去の例でいうと、インターネットの普及の歴史や、AIの普及の歴史と同じく、アイデアや構想はずいぶん昔からあったものですが、そのアイデアを実現する為のテクノロジーが未熟で、そのために実際の普及に至るまでのリードタイムが随分長くかかったわけです。
誰もが知っている長年の準備期間が必要であった、いくつかの例を挙げると
- インターネット: 30年
- 宇宙ステーション、宇宙旅行:50-60年
- AI(人工知能):50年以上
- 電気自動車: 30?年
- ロボット(サイボーグ):50年以上
これらのすべての発展の原動力は、やはりテクノロジーの進化に依存しています。
さて、メタバースについても、ほぼ同様のことが言えるわけで、今年2021年11月にFacebookが社名をMetaに変更するという発表をしたわけですが、これまでにかなり長い間の準備期間があって、今年、やっとそれがいよいよハイプカーブの第一段階の「黎明期」に入ったといえる段階にあるといえるでしょう。
数年前より、予兆としてのVR(Virtual Reality)の普及があり、それを後押しするテクノロジーの一つが5Gの普及でもあります。また、DX(Digital Transformation)の普及の中には、すでにDigital Twinという考え方が実践されており、これはまさにメタバースの入り口に来ているという証拠でもあります。
ここで、非常に面白い今月のニュースを紹介します。(2021年12月15日)
このニュースとメタバースがどういう関係にあるかは、本サイトの全体をご覧いただけると自ずと理解できることですが、ここでは、メタバースの予兆として紹介しておきます。
さて、厳密なメタバースの説明をする前に、初めてメタバースについて知ったと言う人のために、わかりやすい映画のクリップを下記に紹介します。
宇宙ステーションなど、突拍子もないアイデアというのは、たいていの場合、映画のネタとしてたいていそれが実現化される数十年前にとりあげられて映画化されているものです。
メタバースとは
メタバースが何であるかは、一言で説明しきれないところがあります。このサイトでは、全体像を理解するための情報を提供するわけですが、 メタバースのような「異次元世界の思想」は古くからあり、その空間に名付けられたのが「メタバース」で、超越を表す古代ギリシャ語の「meta」に、世界を表す「universe」を掛け合わせた造語といわれています。
まずは、非常に簡単に言葉でメタバースを表現したWikiの説明によると、
メタバース は、コンピュータネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間のことを指す。
(狭い商業的な定義では)バーチャル空間で企業がVRを活用し2021年以降、新たに参入した人間達が集まっている商業的な空間(世界)。
将来的にインターネット環境が到達するであろうコンセプトで、利用者はオンライン上に構築された3DCGの仮想空間に世界中から思い思いのアバターと呼ばれる自分の分身で参加し、相互にコミュニケーションしながら買い物やサービス内での商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう一つの「現実」として新たな生活を送ったりすることが想定されている。
もう少しわかりやすく言うと、
近年、VR(バーチャル技術)が著しく進化したために、サイバー空間(インターネット)で、人、物(物品、土地などすべて)、金、を実物(Real)とほぼ同じようなレベルで作り出すことができるようになった。
したがって、将来には、このサイバー上に、現実とは別の世界をいくつでも創造して、その中で商業、娯楽、芸術活動などを行うことができるようになることが予想されます。
まるで、SFの世界のようであるけれど、急速なテクノロジーの進化で、既にその一部が実現化され始めています。特に、真っ先に立ち上がってきたのは、一番相性のいいゲームの世界と、ビジネス(金儲け)の世界で、特にこれらのビジネスに敏感なスタートアップ企業や個人投資家が、暗号資産を使って仮想空間の土地を買い占めるなどの大きな投資活動が開始され始めました。
中でも、先人を切ったのが、Facebookとマイクロソフトで、その他Googleなども同様の動きを初めている。
2009年アバター技術はできていた
ここで、メタバースで極めて重要な特徴である「アバター」という言葉について説明すると、これは過去2009年にAvatarという映画で使われて、一般に広まっていきました。
アバター(自分の分身)の語源が興味深いものです。
サンスクリット語のアヴァターラ(avataara अवतार)は、インド神話や仏教説話の文脈で「(神や仏の)化身」の意味。「アバター」は、その西洋風の読み方で、概念が似ていることからネットワーク用語として転用されたもの。
Wikiより
Chapter 4 (Platforms & device tec)ところで、もっと詳細にメタバースを支えるテクノロジーを紹介しますが、次のアバターという映画で使われている技術は、既に現在V-tuberなどが、日常で手軽に使っているものであります。ただし、コストが映画のようにかけられないので、解像度などレベルはまだ低いですが、将来はこれらもコストダウンと民主化が進み、クオリティも上がると同時に、一般に急速に普及してくると推測されます。
2009年『アバター』(原題: Avatar)は、ジェームズ・キャメロンが監督・脚本・製作・共同編集を務め、アメリカとカナダで最高の興行収入を記録しました。
10年前には、数十億円というお金をかけて作られた技術が、現在では、インターネット上で無料で配布されるところまで近づいている。
特に興味深いのは、2009年にはSFの世界であったアバターが、冒頭で紹介した韓国の大統領選挙で実際に使用されていることです。10年の期間が必要であったのですが、このように技術革新の速度とレベルが急速に加速しているので、今日Facebook CEOのザッカーバーグが、社名をMetaに変更してまでチャレンジしようとしているメタバースは、かなり確率高く、近い将来現実のものになると推測されます。
このサイトでこれから説明することは、「まだまだ先の話」と思われるかもしれませんが、案外近い将来に実現されるかもしれません。
メタバース報道紹介
既に、ご存知の方も多いと思いますが、まず最初にいくつかのメディアでのメタバースの関連記事を紹介しておきます。きっかけは、2021年12月にFacebookが社名を変更したこと。最初は世界で大きく注目を浴びたが、それから1年が経過し、Facebookの業績と株価が急落し、2022年末では様々な批判にさらされている。
これが、過去にアマゾンが何年も批判を浴び続けた挙げ句、最終的には世界の市場を席巻したようになるのか、それとも消えていくのか、誰もが注目しているところでしょう。以下時系列で、報道の引用照会をいたします。
Facebook 社名変更でMETAへ(1兆1400億円投資)
Facebookは現地時間2021年10月28日、VR/AR開発者向けカンファレンス「Connect2021」の基調講演のなかで、社名を「Meta」に変更すると発表した。今後は仮想空間「メタバース」に関するビジネスに注力していくという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/005b72dc60911247fff624aec45bc625172dda54 Yahoo ニュース
かの有名なGAFAの一つのFacebookの社名は「Meta」になった。
ザッカーバーグは、動画で一時間におよぶプレゼンでメタバースの世界と新会社「Meta」の目指すところを説明しております。(別タブで紹介しています)
Facebookが社運をかけたメタバースは………
1週間で100億円の仮想土地売買
既に、チャレンジを好む企業が多額の資金を投入しています。これは、一昔前の不動産投資と同じ考え方です。
マイクロソフト Mesh for Teams
フェースブックと全く同じタイミングでマイクロソフトもメタバースのサービスを発表した。Mesh for Microsoft Teams. マイクロソフトは、もともとwindows OS、Microsoft Office (Xcel, Word….)を中心に企業を中核の対象としてビジネスを展開してきているので、メタバースも企業をターゲットに展開しようとしています。ここがMetaと少し違うところです。
Satya Nadella CEO Microsoft Ignite 2021
詳細については、別タブのMesh for MS Teamsを参照ください。
ブロックチェーン技術により高度で安全なメタバースの実現
NFTとは、ブロックチェーン技術を活用することで、アートやゲーム内のアイテムといった資産に作者や所有者の情報を追記することができるデジタル資産のことを指します。
NFTの活用
メタバースは、後述しますが、広大なビジネスエリアで、その中で商業的な活動をする限り、必ず対価のやり取りが発生します。一般のデジタル仮想世界では、なんでもコピー改ざんなど簡単にできるので、100%改ざんできない安全な通貨が必要となります。そこで、改ざんが100%できないブロックチェーンの技術を利用した暗号通貨がメタバースの中で使われるようになりました。
また、通貨以外にも、デジタル物品についても、デジタルの世界で唯一性を保証するもの(100%コピーや改ざんができない)がNFTとなり、リアルの物品と同じようにメタバース上のデジタル物品を扱うことができるようになります。(土地、建物もデジタル物品です)
この技術は、メタバースの実現に極めて重要な項目となります。
メタバースの応用
まず最初にターゲットされているのは、ビジネスへの応用です。
Metaもマイクロソフトも、企業の仕事への応用を重要な目標に設定しております。次の動画は、Metaのメタバースプラットフォームの一つで仕事に特化したものでHorizon Workroomsのイメージ動画です。
現在は、アバターが漫画イラストで、いかにもオモチャゲームに見えますが、おそらくPCデバイスや通信線路の高速化などが実現すると、韓国の大統領選挙のように実在の人物と区別がつかないアバターでのやりとりが出来るようになるでしょう。
現在のVRプラットフォームの使用状況
メタバースのプラットフォームについては、別タブで説明しますが、現在のプラットフォームでつかわれているものの使用状況は下記のとうりです。
(プラットフォームについては、別タブを参照ください)
VRは、現在までは若者のゲームが中心になってきて、我々ビジネスパーソンの世界では馴染みがないことが多いのが実態です。そこで、現在の利用状況についてまとめたものが下記のグラフです。
現在ではVRChatが一番使われているようですが、近い将来どのプラットフォームが主流になるか、主導権争いが開始されたばかりです。SNSの発展期と同じように、最初は多くの新参企業が乱立するでしょうが、おそらく数社に淘汰されていくものと推測されます。
現在はこの状態ですが、メタバースが普及し始めると、後数年で、ユーザー構成が全く変わってしまうと考えられます。
あらゆるジャンルに発展する
次に、おもしろく、わかりやすい有名な中田大学で取り上げられていたメタバース 説明をそのまま紹介します。
アート、ゲーム、ファッション、スポーツ、音楽など幅広い分野のメタバースが創造されることでしょう。中田大学の中で、もう一つ注目すべきところは、課題のところです。
中でも法律の整備、使いやすさが大きなポイントとなるでしょう。手数料は、ほっておけば競争原理が働いて、おそらく問題ないレベルまで下がっていくと思います。
- 応用・発展分野
- アート
- ゲーム
- ファッション
- スポーツ
- 音楽
既に実現されているバーチャルマーケット
次にTBSニュースで紹介されたメタバース上でのマーケットの紹介を御覧ください。
先にも述べましたが、現在は、イラスト・マンガの状態で映画のリアルCGと比較すると完成度が低いわけですが、それは時間の問題で、数年後には、驚くようなリアリティーのある映像となることでしょう。
アマゾンがネットで本を売り出したのが、1995年で当時はネットで本を売るということは、ほとんどの人が想像もできなかった。現在では、本だけでなく殆どの物品からソフトウェまでネットで購入することが当たり前になった。
メタバースでの買い物など、荒唐無稽と考えるのはもはや時代遅れかもしれません。このビデオのイラストの販売員とのやりとりは、クオリティが低すぎて、まだバカバカしいと見られるでしょう。
これが本格的になるのは、もう少し先になるでしょう。そのきっかけは、別の章(Platform)のところで説明する各種の技術革新が、大きく進展するまで待つ必要があると思われます。
NFT Metaani
日本で、つい最近発表されたものが、Metaani「テーマパーク+音楽フェス会場」です。これは先進的なクリプトアートプロジェクトで、メタバース空間内でライブイベント「Metaani Fes」を実施することを目標としているとのことで、国内外で知名度の高いNFTプロジェクトです。Metaaniには同じ個体が存在せず、すべてが異なる特徴を持つ3Dモデルアートです。世界最大のクリプトアート展示会“Crypto Art Fes”を開催したmekezzo氏と、詩人およびVRアーティストとして活動するMisoshita氏によって立ち上げられました。
2022年は「メタバース相場」加速の年になる
一番敏感なのは投資家で、メタバースの日本企業で投資対象となるのは、映像体験型テーマパークなどに挑戦するIMAGICA GROUPや、メタバース事業に2〜3年間で100億円の投資を予定するグリー、さらには、この分野のバーチャルイベントを提供するシャノン、専門のアパレルブランド新設のシーズメン、ゴーグルなどAR/VR関連製品向け光学薄膜成膜装置のオプトランなどがあり、今後も新参企業が急増すると予想されます。
インターネット上の仮想空間「メタバース」の開発競争も過熱しており市場規模は近い将来100兆円に上ると期待されています。これは、ゲームの世界だけではありません。
米エヌビディアは12月7日、メタバース(仮想空間)の開発基盤について、日本での導入支援にSCSK社やNTT系企業など24社が参画すると発表しました。(NVIDIAは重要な役割を持つでしょう)
12/8の記事によると、日本におけるメタバース発展を目的とした業界団体「一般社団法人日本メタバース協会」が近く設立されることが分かりました。設立時点での代表理事にはFXcoin社長の大西知生氏が就任し、他にもGinco社長の森川夢佑斗氏、CoinBest社長のらく東生氏(らくは洛の異体字)、インテリジェンスユニット代表の新見明弘氏が設立時理事としてそれぞれ名を連ねています。
(注)上記の団体については、日本の場合は、テクノロジーというより暗号通貨業者が代表となっており、本来のメタバースの発展にはつながらない可能性があります。(私の私見です)
黎明期のメタバース
メタバースは、現在黎明期にあり、本格的に一般普及には10年ほどかかるでしょう。映画アバターの撮影技術が一般のレベルになるまで10年ほどかかっておりますので、これから推測して、10年でそれ以上の進歩を遂げることでしょう。
過去に作られたのバーチャルプラットフォーム、ぱどタウンやセカンド・ライフは「初期市場」には受け入れられたものの、キャズムを越えて普及することはありませんでした。このグラフでみると、メタバースはキャズムを超えたばかりのポイントにあるわけです。
急拡大する市場
市場予測は、出所によってかなり異なりますが、誰もが市場の爆発を予感しているようです。
今月の日本のテレビのニュースで取り上げられた例では、2024年に30兆円の市場規模とのことです。
新しい課題にどう対処するか
メタバースは、様々な可能性を持っているが、同時に解決しなければならない問題も増えてきます。まだ、始まったばかりで、手探り状態のところに、次々と今までなかった問題が顕在化してくると予想されます。これらに対しての法律的な制度もまだなにもできていない。そういった意味で、技術の革新と同じレベルで法整備やルールづくりが必要となってくるでしょう。
ブレークスルーの予兆
メタバースの大きなきっかけとなった技術は、「仮想空間への没入度合い」です。具体的には、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)などの技術によって、これまで2Dだった仮想空間が3Dになり、参加者は実際にその場にいるように感じられるようになりました。
現在主流のメタバースはまだ3Dもどきの2D空間が主流です。しかし、以前の仮想空間と比べて、リアルタイム画像処理に特化した半導体チップ「GPU」の進化やデータ通信量の拡大により、いっそう没入感が高まりました。また、現在のアバターは、いかにもアニメの人形的で、とてもビジネスに使えるようなしろものではありません。ところが、技術的には、韓国大統領選挙に使われているリアルと区別がつかないアバターは既に可能になっており、PCの性能と伝送線路(5Gなど)の速度と遅延がもう少し進化すれば、全く違った状況になることは明らかです。
前節バーチャルマーケットニュースのYoutube内で紹介された渋谷の漫画チックなイラストと次のビデオクリップのイラストを比較してみてください。現在、広く紹介されているイラスト型アバターや仮想空間都市(ショップなど)は、近いうちになくなり, 次のビデオのような現実(実写)と見分けのつかない映像の世界になることは間違いないでしょう。
次のメタバースの映像は、日本の企業が作製したものですが、これをみると近いうちにブレークスルーが起きそうな予感がいたします。
スペースデータ 2021/12/7 WBSより抜粋
メタバースはゲームから
明らかにVRがゲーム中心であるように、メタバースの利用は、当面はゲームが中心で拡大するでしょう。一般にも有名になった「あつまれどうぶつの森」の他には「マインクラフト」、「フォートナイト」が代表格です。
究極のメタバースとは
さて、WiKiでのメタバースの定義は、リアル社会とは別の 「コンピュータネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間のことを指す」と言っているのですが、ザッカーバーグCEOのメタバースの説明をよく聞いてみると、そうではなくて、未来においては、リアルワールドと仮想空間社会の境界が希薄化し、究極的には両者が融合した「リアル空間社会+仮想空間社会」が出来上がり、これが究極のメタバースとなってきます。
ザッカーバーグによると、近未来において、この2つの世界においてビジネス、エンタメなど人間の社会活動が行われるわけですが、リアルと大幅に異なる世界なので、当然のことながら、仮想空間社会で使われる通貨、法律、人間関係のあり方など、人間社会の基本となる事柄についても、技術的なことと同じように今後検討し全人類的な立場から決めていく必要があると指摘しております。
既に、人類の前に突きつけられている大きな課題は、ビットコインに代表されるデジタル通貨の取り扱いです。現在のところ、国ごとに法律的(特に税法やマネーロンダリング防止)な観点からかなり大きな違いが明らかになっているわけですが、国ごとの法整備よりはるかに速い速度で、コマーシャル的な広がりをみせております。
メタバースの将来像は、未知数ですが、あえてまとめると以下のようになると思います。
- メタバースは、インターネットに新たな変革をもたらします。ユーザー没入型の仮想空間で、現実世界と同様の永続性、経済システム、コミュニティ、都市空間、デジタルアバター類、が出現し、様々なデバイスで簡単にアクセス可能で、リアル空間と自由な交流ができる世界です。
- ブロックチェーン上で開発されたメタバースは安全で収益性もある為、投資家は、将来のビジネスチャンスとして大きな可能性を見いだしており、今後莫大な資金が流入し開発競争が激化すると予想されます。
- メタバースが成功を収めるには、VRグラス、アバター技術、CG技術などの基礎技術が高度化し、NFTやイーサリアムなどの共通暗号通貨が普及することが必要です。(別タブ: プラットフォームを参照)
- リアルの世界と同様に、新経済活動世界が出現するので、メタバース内での商法などの法的整備が不可欠となるでしょう。インターネットと同様にBorderlessの特徴は、よりいっそう明確になり、メタバースは国々の国境を超えてしまうので、広く拡大普及すれば、リアル世界の経済活動にメタバースの経済活動が追加され、その相乗効果から世界経済の拡大に多大なる貢献をすると見られています。
以下、参考資料
付録: Yahoo ニュース全文
フェイスブックが社名変更。1兆1400億円投資する「メタバース」はどんな世界なのか
Facebookは現地時間2021年10月28日、VR/AR開発者向けカンファレンス「Connect2021」の基調講演のなかで、社名を「Meta」に変更すると発表した。今後は仮想空間「メタバース」に関するビジネスに注力していくという。 同社がめざす仮想空間の世界とは、一体どのようなものなのだろうか? 今回発表されたビジョンやその背景を紹介するとともに、その実現可能性について考えた。
「SNSの会社」からの脱却をめざす
基調講演では、同社の描くメタバースのビジョンとして、仮想空間内で人々が交流するイメージ映像を紹介。 今後はFacebookやInstagramといった従来のアプリとメタバースの2本柱で事業を構成するとした上で、それを包括する企業ブランド名として「Meta」が披露された。 近年の同社は、メタバース事業へ本腰を入れる姿勢を示してきた。2021年8月に、VR空間内で会議を行えるプラットフォーム「Horizon Workrooms」のベータ版をリリース。10月17日には欧州でメタバース開発のための人材を1万人雇用する計画を発表した。
欧州で1万人雇用する計画が
また、25日に公開された第三四半期決算では、メタバース関連部門の「Facebook Reality Labs」に対して2021年で約100億ドル(約1兆1400億円)を投資し、今後数年間は投資額を増やすとの見通しも示している。 さらに、今回の発表でも、メタバース関連のクリエイーター育成のために1億5000万ドル(約170億円)を投資する意向を示すなど、相当な熱意を注いでいることがうかがえる。
仮想空間内で人が交流する世界を構想
「Horizon Home」は、VR空間内の自分の家のような位置づけ。従来はアプリ一覧などが表示されるだけだったが、今後は友人を招待する機能などが追加される
カンファレンスでは、今後提供されるさまざまなサービスについても発表された。まず、同社が販売するVRヘッドセットで最初に表示される空間を「Horizon Home」としてアップデート。自分の「家」のように、友人を招待して一緒に動画を視聴したりゲームで遊んだりできるようになるという。 また、SlackやDropbox、Facebook、Instagramといった定番サービスを、「Horizon Home」内の2Dアプリから利用できるサービスも提供される。これによって、ヘッドセットを外すことなくDropbox内のファイルを確認したり、Slackでチャットをしたりができるようになる。さらに、VR空間内からMessengerを使った音声通話も可能になるとのことだ。 そして、ビジネス向け機能「Quest for Business」のテスト開始も発表された。仕事用アカウントやチーム向けの管理機能が提供されるもので、こちらは2022年にオープンベータ版のリリースを予定している。
ハードウェア製品に関するアピールも
そのほかに、新作のゲームやフィットネス用のアクセサリーキット、開発者向けの新しいプラットフォームなども発表。また、現実の空間に映像を重ね合わせる「AR」技術に関しては、開発者向けツール「Spark AR」のアップデートが発表されている。 さらに、開発中の次世代ヘッドセットの映像も少しだけ公開。また、新しいARグラスの開発プロジェクトが進んでいることにも触れるなど、ハードウェア製品に関するアピールも行われた。
VR会議ツールはすでに利用可能に
これまで、VRをはじめとした仮想空間はゲームや音楽ライブといったエンタメ分野で使われることが多かったため、「他人事」のような印象を抱いているビジネスパーソンも多いかもしれない。 しかし、Facebookは「人とのつながり」全般を仮想空間で行う世界を描いおり、ビジネス向け機能にも注力している。VR会議ツールについては、8月からベータ版が提供されている「Horizon Workrooms」を使ってすでに体験可能だ。 このツールでは、ヘッドセットを被り、自分の分身である「アバター」の姿で仮想空間の会議室へ入室。同じくアバターで参加している他の参加者と会話をしたり、PCの画面を共有したり、ホワイトボードに図や文字を描きながらディスカッションしたりできる。
VR会議の実用化はまだ時期尚早?
「空間オーディオ」技術を使うことで、アバター同士の距離や位置関係によって音の大きさや方角を変化させ、実際の会議室に近い聞こえ方を再現。アバターの口や手の動きは実際の動きに連動するなど、リアルに近いコミュニケーションを実現するための技術が盛り込まれている。 今後は部屋をカスタマイズしたり、壁に会社のロゴを追加したりできる機能も提供されるとのことだ。 ただし、Horizon Workroomsの空間内にアバターとして入るには、同社が販売するVRヘッドセット「Oculus Quest2」が必要となる。現状ではヘッドセットを所有する人はさほど多いとは言えず、実際に会議などで使うにはまだ少々ハードルが高いのが現実だ。
新「Meta」社のターニングポイントになるか
メタバースが今後普及するかについては、懐疑的な声も少なくない。しかし、コロナ禍によって、リアルに対面せずにコミュニケーションを取ることへの抵抗が薄れたことや、今後5Gを利用できるエリアが広がっていくことなどを考えると、メタバース的なものが受け入れられやすい土壌は整いつつあるといえる。 今後、ヘッドセットの所有者が増えたり、より手軽に使うことのできるデバイスやプラットフォームが登場するようなことがあれば、メタバースを使ったコミュニケーションが、「他社と接点をもつ手段の選択のひとつ」となっていく可能性は十分にあるのではないだろうか。 すべての生活が仮想空間内で完結するSFのような世界ではないとしても、現在、会議や打ち合わせを行うときに「リアルかZoomか」の選択をしているのと同様の感覚で、「リアルかメタバースか」を選ぶようになる未来なら十分にあり得そうだ。 今回の社名変更には、同社で起こっている内部告発問題から世間の目をそらすためではないかとの批判もある。もちろん、問題視されていることに対する誠実な対応は必須だろう。その先の世界として大きな可能性を秘めたメタバースが、新「Meta」社のターニングポイントとなるのか。今後の動きに注目したい。
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