DX定義・要素

IPA資料より

DX概要

最近の流行りのDXですが、具体的にDXをすすめるにあたり必要な基本的な要素についてまとめていきたいと思います。

  • デジタル化/DXの定義
  • DXの要素

まず、下図DXの定義のイラストを見ていただき、DXが世間一般に認識されている単なるデジタル化とは異なることを確認ください。

イラストで概念だけを見ると簡単そうですが、既に長期に渡ってオペレーション実績がある会社の場合には、既に社内組織、プロセス、その他多くの要素が固まっているので、それらを変えることは並大抵のことではありません。

ここを甘く見てDXを開始しようとした会社はことごとく失敗しているとの報告が多いようです。ただ単なるデジタライゼーションだけでも、なかなかうまく行かないのが実情であります。

まず、DXをやることのインパクトとやり遂げるためにどういった要素が重要であるかの全体像を掴む必要があります。下図はそのトッププレイヤーでの項目をイラストにしたものです。ここの右上にあるDXComponentsというのが、技術レベルで必要な知見で、別のタブ(テクノロジー)にまとめております。

ここでは、この重要要素の概要説明を行い、全体像を把握します。そして、さらにそれぞれの要素についてより具体的な施策などをこのブログでは説明していきたいと思います。

DX デジタル戦略

まず、何が問題で、何をどうしたいのかという、単純な疑問に答えることから、戦略を考えることになります。あまり抽象的な話でなく、リアルの会社を想定しての状況に沿った形で話を進めていきます。一般論は、DXの書籍に書いてあるので、ここではより具体的に考えることにしましょう。

背景と問題点

検討の一例としての仮定と手順

わかりやすくするために、ちょっと一つの会社を仮定して考えて見ます。たとえば、自分の会社が、高速道路沿いの通信用鉄塔と無線機を作る会社だとしてみましょう。高速道路の付帯設備専業の事業環境とすれば、独占性が高いので将来数年の間はおそらく安泰ですが、5-10年後には昨今のビジネス状況をみると極めて厳しい状況かもしれません。リスクは、例えば衛星回線が普及すると鉄塔通信設備そのものが不要になるかもしれません。競合他社が、破格の価格の製品を出してきて市場を奪われるかもしれません。

この予測される問題を解決する施策として、たとえば、

  • 既存事業のシェアを他の客先に拡大し、売上を維持確保する
  • 新規事業を立ち上げ売上を伸ばす

という方法などが考えられます。

この目標を達成する為にどうすればよいのか、という課題に対して、

近年のIT分野の動向のなかで、中心となっているDXを基本戦略として、既存事業および新規事業を拡大することを目標と仮定していきます。

では、このDX推進の具体的ステップはどのようになるかというと、

Step 1 現状分析と将来の予測(今述べたように昨年実施済)

Step 2 新規事業DXの戦略(事業計画)を策定する(現在進行中で、この一連文書)

Step 3 より具体的な実行計画を策定

Step 4 実行(アジャイル方式になる)

この段階で必要なことは、

1. まず全体像を描き、何が必要なのかを明らかにすること。 つまりこの章で述べる戦略、組織、人材、などの主要項目を明確に認識すること

2. 上記の大きな要素の目的と内容がわかった段階で、自社の現状とのGap Analysisを行うこと

3. 上記に基づき、新規事業戦略を策定すること

と、なります。

しかしながら、現状では、「どんな新規事業とするのか」明確になっていないわけですから、まずはこの点を集中的に検討し、議論し、大きな方向性を決める必要があります。

どんな新規事業をするのか検討するにあたり、最低限必要な知見があります。新規事業やDXを実行する為に、いったい何を知っていないといけないのか、また、実行段階で必ず起こるとわかっている重要な問題点とその困難さについては、事前に知っておく必要があります。この章では、その重要な要素の概要を明らかにしたいと思います。

データ・DX Components

DX Componentsの説明にあたり、IOT/AI/DC/等将来大きく拡大する市場の中で、一番成功の可能性が高いと考えられる(間違いかも知れませんので、この点はまだ未定です)DXソリューションをターゲットと仮定しています。実際は、IOTかも知れませんしDCかも知れませんが、DXソリューションの知見はどの分野にも適用可能ですし、よい事業分野を発見する可能性も高くなることが、DXソリューションを仮定している理由です。

DX Componentsの知見が強力な武器となる

現在の技術革新の大きさはかってない規模と内容で起こっております。AIに代表されるような技術革新は、自社が利用することができれば、明らかに新規事業で成功することができるわけです。逆に、これらのNew Technologyがないと、新規事業は極めて難しいでしょう。そういった意味で、別タブにてとりまとめているテクノロジーは極めて重要な知見の集合であります。

これらの知見があると、他社の気が付かないソリューションを提案する確率も高いし、また、他社が提案したソリューションをいち速く「まねて」市場参入することも出来るようになります。このDXComponents は、そちらのタブで詳細を述べるので、ここでは意味だけを説明しております。

組織

新しい事業を推進していくには、当然ながらその事業に合った形の組織形態が必要となってきます。私は、日本の企業NECで15年、スウェーデンのエリクソン社に10年、米国ルーセント社等、非常に異なった組織を体験しておりますが、それぞれ特徴があり、また、年代とともに組織も変化を続けております。事業内容がかわれば、組織形態がかわるのはあたりまえだと思いますが、日本の企業は往々にして皆同じにしようとします。組織については、後日の検討項目で詳細を記述する予定なので、ここでは細かい話はないですが、明確に知っておかなければならないことは、

新規事業では、組織形態が変わる

ということです。どのように変えるかということは、詳細に検討調査、勉強をして決定する必要があります。会社ごとに置かれている事業環境が異なるし、目標とする事業形態も異なるわけなので、すべてカスタムメイドということになると理解する必要があります。組織が変わるということは、人事制度などすべてが繋がって変化せざるを得ないので、複雑な事態になることは間違いないでしょう。

人材

DXテクノロジーのそれぞれの分野で、ある程度専門的な知識をもった人材が必要になってきます。いうまでもなく、外部からの調達になることが多いでしょう。また、その人材をキープできる組織、会社でないと成り立たないので、考慮すべきことはたくさんあります。特にデータを扱うことが多くなったりすると、たんなるSEではないので、Partnershipでやるか、自社でやるかなど、大きな視野で人材とスキルの検討をする必要が出てきます。昔ながらの、社内の人の配置転換では、不可能であることを(一部は可能です)最初から理解する必要があります。男女、年齢、国籍それらのすべての可能性を自由な発想で追求していく必要があります。この人材の項目は、DX テクノロジーComponetsの技術的な知見よりはるかに重要な成功要因であると考えます。どんなよい事業計画を作っても、人材のハンドリングを間違えば会社も、その事業もなりたちません。サイボウズの社長が長年離職率30%という問題を克服するのに何年かかったことか理解が必要です。私の実経験ですが、役員をしていた時のAIベンチャーの社長は、東大大学院で理論物理学の博士号をもっている方でしたが、1年足らずで倒産しました。 コロナの影響もありましたが、社内で人がコロコロ変わる実態をつぶさに見てきた者として、いずれ同じ倒産する運命であったのではないかと思われます。会社の成功は技術や理論だけではなりたたないのでしょう。DXの基本項目に人材、組織の問題を皆さんが掲げているのはそういうことかもしれません。

風土文化

企業の風土・文化については、新規事業を立ち上げるときに極めて大きな障壁となります。しかしながら、その障壁の大きさを本当に認識することは困難なことが多いでしょう。トップマネジメントがそのことをよく認識して、非常に大きな意思力を持って辛抱強く長期間頑張り続ける必要があります。

この私のウェブ情報全体について言えることですが、この内容は私の意見とか見識ではありません。DXについて多くの研究や体験をした方々の報告を見て、納得ができることをまとめているものですので、そのようにご理解ください。

次の記事は、早稲田大学の大湾秀雄教授の記事より、上記の風土文化に深く関わることをまとめています。(日経新聞2021年3月3日の記事)

DXに失敗する3つの「ワナ」(内容は要約しています)

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進する企業が増えている。ただし、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によるとDXに成功した国内企業は14%にとどまる。失敗の原因は何か。専門家への取材から課題と解決策をまとめた。


風土・文化という言葉で表現するものが、わかりにくいですが、上記の失敗要因の3番目がそれにあたります。DXというのは、変化を必要とするものなので、大抵の場合、様々な形で「変えたくない、今のままでいい」と大勢の社員が思います。特に、長年同じ業態、社内プロセスでやってきて問題がなかった会社ではそうなるのは当たり前です。しかし、将来を見て本当に変革が必要であればなんとしてもやらなければなりません。しかし、この報告にあるように成功確率は14%! これが事実で、実態です。上記の1番目、2番目は、わかりやすいのですが、それに加えて目に見えにくい風土・文化という、なかなか大きな壁が立ちはだかっています。

マネジメント

デジタル戦略の中で重要な要素、技術+データ、組織、人材、風土・文化という大きな要素があるわけですが、それぞれの中身と相互間の関係を最適化することなど、かなり高度で詳細なマネジメントが必要となってきます。それぞれの要素が複雑に絡み合った状態の中で、100%は無理でしょうが70%くらいはうまく計画と実行ができないとDXはなかなか成功しないでしょう。

そういった意味で、全体のマネジメントが重要な要素となることでしょう。

今後、それぞれの要素についてもう少し詳細なスタディを進めていきますが、昔の話ですが、10年前に、JALが危機的状況に陥った時、それを立て直した稲盛氏のマネジメントは非常にわかりやすい例ではないでしょうか。我々の会社は、規模も事業内容も全くことなるので、そのまま使える内容はないでしょうが、おそらくどんなDXも、今までと違った視点からマネジメントをやる必要があることは、共通ではないかと思います。今月3月3日の記事を下記掲載します。

稲盛和夫がJAL再建に成功した最大の理由|人間力・仕事力を高めるWEB chichi|致知出版社
人間力・仕事力を高めるWEB chichiの、稲盛和夫がJAL再建に成功した最大の理由のページです。