産業用システム

  1. 産業用太陽光発電
    1. 住宅用・産業用の比較のポイント
  2. 産業用太陽光発電の例
    1. セブンイレブン
    2. 携帯基地局に太陽光発電を利用
  3. 産業用太陽光発電のシステム概要
    1. システム構成機器
    2. 全量買取型太陽光発電
    3. 余剰買取型太陽光発電
    4. 産業用太陽光発電のメリット
      1. 自家消費型太陽光発電であれば優遇税制を活用可能
  4. 太陽光発電の耐用年数・寿命
    1. 法定耐用年数
    2. 独立型太陽光発電の法定耐用年数
    3. 寿命
    4. 太陽電池の種類と経年劣化
  5. 追尾型太陽光発電システム
    1. 天候条件に合わせてモジュール面を変更
  6. 産業用と住宅用の比較
    1. 発電出力
  7. コスト(設置費用)
    1. 買取方式
  8. FIT制度(固定価格買取制度)
  9. 太陽光パネルの選択基準
  10. 太陽光発電業界の種類
    1. 電力会社(東京電力など)
    2. パネル業界(三菱電機株式会社、NDS株式会社、東芝プラントシステム株式会社など)
    3. パワコン業界(オムロン株式会社、パナソニック、TMEICなど)
    4. 架台業界(Huge Energy Technology Co., Ltd、株式会社ハイパーエナジーなど)
    5. 商社業界(富士電機株式会社、住友電気工業株式会社など)
    6. O &M業界(アドラーソーラーワークス株式会社、エクソルなど)
    7. ゼネコン(清水建設、鹿島建設など)
    8. 上場系再エネ企業(レノバ、REITなど)
    9. 低圧全国型企業(株式会社エコスタイルなど)
    10. 地域密着型企業(株式会社イスズ、千葉エコ・エネルギー株式会社など)
    11. 監視システム関連企業(千葉エコ・エネルギー株式会社など)
    12. 蓄電池関連企業(ニチコン、村田製作所など)
  11. まとめ

産業用太陽光発電

産業用太陽光発電とは、容量10kW以上の太陽光発電システムのことを指しています。

  • 産業用太陽光発電=10kW以上
  • 家庭用太陽光発電=10kW未満

産業用太陽光発電と家庭用太陽光発電の構成機器の違いは基本的にはありません。

しかしながら、建設にあたって、産業用システムは様々な法的手続きや、厳しい仕様などがありますので、当然コストも大きくなり、採算性の検討にも慎重な対応が必要となります。

前のチャプターでは住宅用のシステムについて詳述していますが、ここでは、家庭用と産業用の比較を含めて、産業用の特徴などについて明らかにしたいと思います。

住宅用・産業用の比較のポイント

  • 発電出力の違い
  • 購入価格の違い
  • 買取方式の違い
  • FITの違い
  • 太陽光パネルの違い

両者の比較は後述いたしますが、まずは産業用システムの例をいくつかご紹介します。

産業用太陽光発電の例

セブンイレブン

2019年より、セブンイレブンは省エネ実証実験を開始、再生エネルギー100%の店舗運営をめざしている。コンビニのような建屋の場合に太陽光発電の条件がそろっていることが多い。全国で2万店舗もあるので、日本全国での節電料は莫大となる。 同様に他のコンビニも太陽光発電を利用すれば、日本全体でのエネルギー節約効果は絶大となるでしょう。

20191003kaneka 544x354 - カネカ/セブンイレブンの省エネ実験店に太陽パネル提供

ロシアの戦争の問題をきっかけに、原油価格が高騰しており、こういった背景からも将来に備えて再生可能エネルギーの利用は重要なポイントになってきます。

携帯基地局に太陽光発電を利用

同様に、携帯基地局に太陽光発電を利用する実証実験も多く行われています。

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太陽光パネルと蓄電池を設置したKDDIの携帯電話基地局(新潟市)

産業用太陽光発電のシステム概要

システム構成機器

  • 太陽光パネル
  • パワーコンディショナー
  • 架台
  • 接続箱
  • 基礎

パワーコンディショナーの容量が50kW以上になる場合、高圧受電契約

  • 集電箱
  • キュービクル

が必要。

全量買取型太陽光発電

産業用太陽光発電の呼称は一般的に「全量買取型太陽光発電」を指しています。全量買取型太陽光発電とは、発電した電気を全て売電に回す産業用太陽光発電のことを言います。

産業用太陽光発電では、固定価格買取制度(FIT)という法律によって、発電した電気を電力会社に固定価格で20年間買い取って貰えます。電気を売ることによって得られる「売電収入」を目当てに、企業だけでなく民間人など多くの人が産業用太陽光発電を「投資」として行ってきた歴史があります。

余剰買取型太陽光発電

余剰買取型太陽光発電は、太陽光発電システムで発電した電気を、売電目的のみではなく自社工場やアパートの電力として自家消費して余った電力を売電する方法です。

住宅用太陽光発電では当たり前に行っていることですが、産業用太陽光発電は長らく「全量買取」が主流だったため、あまり注目されることはありませんでした。

しかし、固定価格買取制度の売電単価は年々下がっています。売電単価が下がると経済性が損なわれるため、自家消費で電気代を浮かしたほうが経済的に有利なケースもあります。

こうした事情から、最近では余剰買取型の産業用太陽光発電を設置する人も増えてきました。

産業用太陽光発電のメリット

災害時に非常用電源として活用できる


産業用太陽光発電を自社工場などの屋根に設置して自家消費することで、災害時でも電気が使えるといったメリットがあります。最近になり災害が多い日本では、このメリットは年々大きくなっていくでしょう。

自家消費型太陽光発電であれば優遇税制を活用可能


発電した電気を自社内で消費する自家消費型太陽光発電なら、中小企業経営強化税制などに申請することで、100%の即時償却または10%の税額控除(資本金3,000万円超~1億円以下の法人の場合は7%)の税制優遇を受けることが可能となります。

太陽光発電の耐用年数・寿命

法定耐用年数

国税庁の分類に従うと太陽光発電や風力発電の設備は「電気業用設備→その他の設備→主として金属製のもの」に属し、法定耐用年数は17年が適用されます。法人や個人事業主が事業用に設備投資として太陽光発電を購入した際は、購入費用を17年で減価償却することになります。ちなみに通常の設備投資と異なり、太陽光発電はグリーン減税という優遇税制を利用することも可能です。

グリーン投資減税、正式には「エネルギー環境負荷低減推進税制」は、省エネ設備や再生可能エネルギー発電設備などを取得し運用開始した際に、一定の条件に適合すれば法人税や所得税の減税を受けられるというものです。グリーン投資減税制度は、地球温暖化への影響が指摘されるCO2排出量の削減に加え、太陽光・風力・水力・地熱といった再生可能エネルギーの導入拡大を目的に創設されました。

独立型太陽光発電の法定耐用年数

自家消費用として製造工場などに設置し施設内で創った全力を消費する場合。この場合は発電された電気により稼働する機械によって作られた生産物(最終製品)に係る設備として耐用年数が定められます。例えば自動車製造業者が自動車を製造する工場の電力を供給するために設置した独立型の太陽光発電の法定耐用年数は、輸送用機械器具製造業用設備の9年が適用されます。

寿命

一般には期待寿命として、ソーラーパネル20~30年、パワーコンディショナー10~15年と言われます。パワーコンディショナについては、例えば冷蔵庫や洗濯機の取り替えを考える時期とほぼ一致するのではないでしょうか。15年を超えたからといって必ずしも故障したり使えなくなるわけではなく、長く使えるかどうかはいかに丁寧に使い続けられるかどうかにかかっていると考えられます。一方でソーラーパネルがパワコンに比べて耐用年数が長いと考えられているのは、機器自体に可動部が無く摩耗や故障が少ないことが主な理由に挙げられます。

太陽電池の種類と経年劣化

多結晶における出力の低下率は5年間で2.3~2.8%、単結晶が3.2~3.9%、アモルファスは5.7%、パナソニックのHITパネルに代表されるヘテロ接合の太陽電池は2.0%というデータとなっています。

CIS太陽電池は2年目は1年目と比べて1.02倍超の出力に一旦増えたのち出力が下降しており、一般に光照射効果と言われる現象が確認されます。5年のスパンで見た場合1年目と比べて1.4~1.5%の出力低下率に収まっているものの、2年目以降の出力劣化率はアモルファスシリコンに次いで大きくなっています。

20年間で徐々に減っていくことが予想される各太陽電池の出力は太陽電池の種類によって20年間で10%の差が出てきます。

追尾型太陽光発電システム

太陽光の経路は一日の内の、時間とともに向きも角度も変動します。また、季節ごとにも変動するので、それに合わせて、太陽の位置を算出し、太陽電池パネルが最適な方向に向くように自動で太陽を追尾します。この自動トラッキングシステムを採用することで、太陽光パネルの発電量を1.5倍にできるだけでなく、駐車場や農業用地を有効利用することができる画期的なシステムです。

天候条件に合わせてモジュール面を変更

産業用と住宅用の比較

さて、ここでもう一度産業用と住宅用太陽光発電の違いを比較しておきます。

発電出力

太陽光パネル1枚は通常200~300Wほどの出力があるので、パネルが20枚あれば4~6kWと家庭用の規模になり、その枚数が数百枚となると産業用(企業用)の規模となります。

政府が定めた電気事業法による区分で低圧・高圧・特別高圧と分類されています。

低圧は、太陽光発電オーナーのほとんどが個人で、10kWを境に低圧の家庭用の太陽光発電か、低圧の産業用の太陽光発電かを区別しています。

コスト(設置費用)

太陽光発電は、発電出力によって購入価格が大きく異なります。産業用の規模では、初期費用+ランニングコスト(維持費)を含めた上での価格を表示しています。

家庭用の太陽光発電を始めるなら、100万~250万円、産業用の太陽光発電を個人の規模で始めるなら、1,000万~3,000万円ほどとなります。損益分岐点に達する年月は、家庭用も産業用もだいたい10年程度です。

買取方式

太陽光発電で生み出した電気の使いみちは、自家消費か電力会社に売るかの2通りあります。

自家消費は、生み出した電力を節約のために家庭で消費したり、蓄電池に電気を貯めたりします。自家消費した分の電力量は、“電気使用率” と言い、日中でおよそ10~15%程度を家庭で消費します。

残りの85〜90%の余った電気は電力会社に売ることになります。

また、産業用の太陽光発電であれば、“余剰買取か全量買取” か選ぶことができます。

FIT制度(固定価格買取制度)

太陽光発電で生み出した電気を、電力会社が固定された価格で買い取るしくみをFIT制度と言い、その価格や適用期間は太陽光発電の規模により決められています。(下図参照)10kW未満の家庭用太陽光発電であれば、10年間・24円+税で、力制御に対応できる機器を設置していると、FIT価格は26円+税になります。利益を得るために始める方は、20年間・14円+税の10~499.9kWの発電所を選ぶことが多い。500kWを超える規模の発電所は、所有者が電力会社に価格を提示して買い取ってもらう入札制度により価格が決まります。その価格は10~13円が相場です。

太陽光パネルの選択基準

太陽光パネルは、家庭用か産業用で選び方が変わります。現在、太陽光パネルの種類はシリコン系か化合物系に分かれており、世界のシェア8割がシリコン系の太陽光パネルです。

また、世界規模で見ると外国産のパネルが90%以上のシェアを誇り、国産と比べると安価になっています。日本では、耐久性とサポートが強みの国産パネルが好まれる傾向です。

シリコン系のパネルは、化合物系のパネルと比べると、発電効率と価格が高い傾向です。

その中でもシリコン系のパネルは、“単結晶” と “多結晶” の2つの種類があり、多結晶の方が発電効率と価格がやや低くなっています。発電効率と価格の高さで比べると、シリコン系単結晶>シリコン系多結晶>化合物系、となります。

太陽光発電業界の種類

国策である太陽光発電システムの産業界へのインパクトは将来大きなものとなりますが、関連する業界について下記取りまとめました。住宅向けと産業用によって業界も大きく異なります。

電力会社(東京電力など)

大手電力会社と新電力などの電力会社が含まれます。

パネル業界(三菱電機株式会社、NDS株式会社、東芝プラントシステム株式会社など)

京セラなどの大手電機メーカーのことを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実際に世界で活躍するパネル業界の主要プレイヤーは中国を中心とした海外勢がほとんどです。国内勢は世界レベルで見るとまだまだと言えますが、一方、住宅の屋根に設置するタイプでは消費者から国内産が選ばれる傾向にあるなど、現状限られた分野において国内勢がリードしています。

パワコン業界(オムロン株式会社、パナソニック、TMEICなど)

パワコンは一定程度で交換するものとされているため、比較的国内のメーカーが選ばれています。その一方で、アメリカなどにおいては中国HUAWAI社製品など、コストと機能のバランスが良い製品が選ばれる傾向にあります。

架台業界(Huge Energy Technology Co., Ltd、株式会社ハイパーエナジーなど)

現状はコスト上の優位性から、中国メーカーが市場を独占しています。国内では、JIS規格の改定、そして地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン及び構造設計例についてなどのガイドラインも整備されてきています。

商社業界(富士電機株式会社、住友電気工業株式会社など)

再生可能エネルギーに強い商社は、振興系の企業から大手商社まで、部材の取引以外にも幅広く取引を行っています。

O &M業界(アドラーソーラーワークス株式会社、エクソルなど)

オペレーティング&メンテナンスと呼ばれる分野です。近年、大型の太陽光発電を中心に、メンテナンスを専門に請け負う業者が成長を続けています。

ゼネコン(清水建設、鹿島建設など)

メガクラス以上の大型案件を手掛ける、大手ゼネコンを指します。一般に日本では数千億から数兆円の売り上げを持つ建設会社をゼネコンと呼ぶことが多く、鹿島建設や清水建設など大手5社からなる「スーパーゼネコン」を筆頭に、前田建設工業や西松建設などの「準大手ゼネコン」、東洋建設や飛島建設といった「中堅ゼネコン」などに分類されます。

上場系再エネ企業(レノバ、REITなど)

独立系の会社だけでなく、近年はなどの再生可能エネルギー有名銘柄や、再生可能エネルギーを請け負う専門のREIT(リート。不動産投資信託)が上場しています。これらの企業は情報が開示されるため、気になる方はそれぞれの企業がどのような動きをみせているのか、詳細に読み取ることが出来ます。

低圧全国型企業(株式会社エコスタイルなど)

低圧系の発電所を中心に、全国で幅広く低圧案件を手掛けている業者のことを指します。

地域密着型企業(株式会社イスズ、千葉エコ・エネルギー株式会社など)

地元を中心に電気工事を手掛けている工事会社のことを指します。

監視システム関連企業(千葉エコ・エネルギー株式会社など)

発電量を計測する監視システム、高圧、低圧用など様々な種類のシステムを取り扱う企業です。大手企業からベンチャー企業まで、様々なタイプの遠隔監視システムが取り扱われていますが、近年では、各社異なるタイプの情報を集約する「電力のインターネット化」「ブロックチェーン化」を見据えたサービスも登場しています。

蓄電池関連企業(ニチコン、村田製作所など)

日中太陽光発電で発電した電気を蓄電システムに貯め、夜間等に利用するというシステムを取り扱う企業です。特に自動車メーカーに電池を供給するメーカーが業界の主要なプレイヤーで、各社様々なタイプの製品を販売しています。アメリカでは の住宅用蓄電の設置も開始されており、今後更なる成長と価格競争が予想される市場です。

まとめ

以上、産業用太陽光発電システムの概要についてまとめました。これらを見ていただくと、ほぼ太陽光発電の全体像がつかめたのではないかと思います。

ぜひ、個人レベルでの住宅用太陽光発電を検討する場合でも、また、会社の事業用、節電用その他の応用にお役立てください。