経営戦略と情報システム

経営戦略

経営戦略とはライバル会社勝ち、永続的に会社が存続発展する方法です。戦略には、その階層レベルに応じて次の3つに分類されます

  • 企業戦略: どの事業領域(事業ドメイン)で戦い、何を競争力の源泉とし、どのような事業の組み合わせ(事業ポートフォリオ)を持ち、どのように経営資源を各事業に配分するかを決定する。
  • 事業戦略: 個別の事業分野において競争に勝ち抜くための戦略
  • 機能別戦略: 営業戦略や財務戦略、人事戦略などのように事業戦略を実現させるための施策を機能別に

事業戦略と経営管理システム

開映管理のための情報システムも多種多様ではありますが、多くの業種業態で使われているものは下記の4つのシステムが全体レベルの情報システムレイヤーとして存在します。

その下に、事業内容、部署の機能内容に特化した多種多様な情報システム・ツールが存在します。

ERP(Enterprise Resource Planning)

ERPは経営資源(人、物、金、情報)を統合的に管理する手法です。ERPでは会社内の多くの個別の部門が保有している情報を、全社レベルで一元管理します。ERPの目的は、各部署や、各業務を統合的に管理し一昔まえの言葉で言えば、縦割りの組織であったため情報がサイロ化していたものを、全社でリアルタイムで共有することで、運営効率が飛躍的に上がります。

通常よく知られている基幹システムというのは、それぞれが独立して構築されていることが多いのに比べて、ERPは全体室テムのデータを一元管理しトータルの活用と効率化を第一目標に構築されているところが違います。

上図でわかるようにERPでは次のような機能が含まれて統合管理できるように設計されております。

  • 人事・給与管理
  • 販売管理
  • 生産管理
  • 購買管理
  • 会計管理
  • 営業管理

ERPベンダーによってそれぞれ特徴があります。

一般のシステムと同じくクラウド型とオンプレミス型があります。

当然多くのメリットがありますが、コストが大きくなる点や、使えるようになるための社員教育などに多くの工数が必要となってきます。

メリット

  • 情報の一元管理
  • リアルタイム経営
  • 内部統制に有効

デメリット

  • システム選定の難しさ
  • 導入・保守費用が高い
  • 社員教育・社内啓蒙が必要

主要なベンダーの例:

  • NetSuite(Oracle社)
  • Oracle Fusion Cloud ERP(Oracle社)
  • SAP S/4 HANA Cloud(SAP社)
  • Microsoft Dynamics 365(Microsoft社)
  • OBIC7(オービック社)

CRM(Customer Relationship Management)

企業は営業活動を経て売り上げを獲得します。しかし、営業活動の中にはデータ入力の重複作業やルーティンワークなど工数のかかる重要度の低い活動も含まれていることが多いでしょう。これでは本来の注力すべき営業活動で成果を出すことは困難です。

CRMシステムは、社内に分散したあらゆる顧客情報を一元管理し、円滑な顧客関係構築を可能にする営業の活動プラットフォームです。
CRMシステムを利用することで、顧客対応のミスや漏れなどを防止し、業務を効率化することが可能になります。また、CRM上で情報が正しく整理されることで、優先的にアプローチすべき顧客を明確にしたり、レポート作成を自動化するなど、営業活動を様々な角度から最適化できるメリットがあります。

顧客データの統合管理ができ従来では連携不足であった営業活動を効率化することができる。

SFA(Sales Force Automation)

SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取ったもので、日本語では「営業支援ツール」と呼ばれるものです。

SFAのデータベースに蓄積されるのは、次の情報です。

・取引に関する情報
・商談案件に関する情報
・営業活動に関する情報
・営業活動で得た名刺情報
・既存/新規/見込み顧客の定量・定性情報

CRMが顧客管理に特化したツールであるのに対し、SFAは営業活動全般を下支えするツールです。

SFAではCRMが機能の一部として提供されています。

SFAは、これまで担当者だけに集中していた営業情報をデータ化でき、なおかつ全員で共有できるため、属人化を解消することができます。

さらに、情報を逐一データベースに入力することによって、コミュニケーション不足による抜け・漏れを防ぐこともできます。SFAとCRMをうまく利用することで営業活動の効率化を行うことができるわけです。

また、営業かつどの流れから両者を表現すると

SCM(Supply Chain Management)

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは供給連鎖管理のことで、組織や企業をまたいでサプライチェーン(供給連鎖)を管理し、生産や販売の効率化を図る経営手法です。
ビジネスを取り巻く環境変化のスピードが加速し、予測が難しくなってきている今、デジタル技術を活用したサプライチェーンマネジメントによる効率化に注目が集まっています。

 具体的には「原材料・部品調達 → 生産 → 物流・流通 → 販売」という一連のプロセスの連鎖のことを指す。これはサプライチェーンに関わる業者・人間の側面で見れば、「サプライヤー → メーカー → 物流事業者 → 卸売事業者 → 小売事業者 → エンドユーザー」という流れのこと。一方、情報やお金は、サプライチェーンと逆方向に流れます。

 サプライチェーンマネジメントとは、こうしたモノの流れ、お金の流れを情報の流れと結びつけ、サプライチェーン全体で情報を共有、連携し、全体最適化を図る経営手法のことだ。その場合、部分最適の和が必ずしも全体最適を意味するわけではなく、サプライチェーン全体のバランスを見て連携管理することが極めて重要となる。

 つまり、サプライヤー、メーカー、物流、小売の関係性を1つ1つを最適化するのではなく、サプライチェーン全体を統括して最適化を図るのがサプライチェーンマネジメントである。

中でも需要予測は非常に重要とされる。これが適切にできていないと、在庫管理が適正化されず経営を圧迫してしまう。そこで、サプライチェーン全体で需要予測に関する情報共有を行うことで、過剰在庫を防ぐことができる。必要なモノを、必要なときに、必要なだけ供給する「ジャスト・イン・タイム」がサプライチェーンマネジメントの基本といってもいいだろう。

サプライチェーンマネジメントが注目される背景

●企業のグローバル化

 企業のグローバル化が進み、生産、調達、販売をめぐる世界規模のネットワークが張りめぐらされている。グローバルな生産・物流プロセスの中では、各プロセスの情報を一元的に管理して全体最適を図らないと競合に後れを取ってしまう。このような状況下において、サプライチェーン全体でモノ・カネ・情報の流れを連携管理する必要性が高まっていることが、サプライチェーンマネジメントが注目される理由の一つである。

●労働環境の変化

 少子高齢化による労働人口の減少などの影響で、人手・人材不足が深刻化している。また、労働条件の問題などから、物流の配達員(トラックドライバー)も不足している。このように労働環境が変化している状況で、各企業はより効率的な物流の在り方を求められている。サプライチェーンマネジメントによって、仕入れ量を適正化して無駄な物流を省いたり、卸売企業、販売店舗などへの配達のタイミングを最適化する必要がある。

●ビジネスモデルの変化

 アマゾン、楽天市場などインターネットを利用した通信販売(EC)が普及し、販売と配送が一体化したビジネスモデルの台頭が著しい。今やほとんどのアパレルブランドがECに対応し、家具・家電などの大型商品も含めて、ECで購入できるモノは幅広い。フードデリバリーも充実してきており、出前非対応のレストランの料理を専門の配達員が配達する「UberEATS」という新しいサービスも登場している。このように、ビジネスにおいて販売と配送が切っても切り離せない時代となっている以上、サプライチェーンマネジメントによって、統合的な管理体制を構築することが求められている。

  1. 予測・計画
  2. 実行・実施
  3. 評価・モニタリング

①予測・計画
予測・計画業務とは、どのような商品がどれくらい販売できるか考え、実行における手段を組み立てていくこと。具体的には、必要と考察される在庫を試算し、仕入や生産の計画を立案することが挙げられます。

欠品を生じさせず、一方で在庫過多になる状態を避けて、「必要な商品を必要な時期、必要な場所、必要な数のみを備え、供給先に届ける」ことが最大の目的と考えられているのです。

たとえば過去や直近の販売実績から最適な商品補充量を計算したり、倉庫が保有する在庫を計算したりする業務などが該当します。

②実行・実施
実行・実施業務とは、立てた計画を円滑に進めていくこと。この業務では、受けた指示に従って実際に効率的に商品を動かします。モノの流通に結び付くあらゆる業務がSCMと考えられており、この実行・実施業務は一連のプロセスでも特に重要といえるでしょう。

たとえばコンビニの仕事の場合、店舗が販売実績などのデータに基づいて発注した後、管轄するセンター倉庫からスピーディーにモノを運ぶ業務がこれに当たります。

③評価・モニタリング
最後に、実行・実施した計画がどのような効果を与えたかなどを評価・モニタリングします。たとえば、当初の計画通りに商品が販売できたか、あるいは在庫過多になっていないか、欠品が生じていないか、などをチェックするのです。

この評価・モニタリングはSCMにとって非常に重要なプロセスと位置付けられています。

経営の評価・管理手法

ERP,SFA,CRM, SCMなどの情報システム・ツールを使って経営を行うわけですが、いずれにしても、経営状態を定期的に関し報告評価を行うことが必要です。

この経営状況を評価するにあたりSWOT、PPM, KPIなどがよく使われるので、それらについて以下概要をまとめておきます。

SWOT

SWOT分析は一般に使われる手法で多くのバリエーションがありますが、基本的には4つの項目で戦略を定義していきます。

内部環境: 自社でコントロール可能な分野

外部環境:自社ではコントロール出来ない分野

PPM

SWOTで経営環境を把握して、次のステップとして資源を投入すべき製品やサービス分野、撤退すべき分野を検討設定することをPPM(Product Portfolio Management)と呼びます。

KPI(Key Performance Indicator) BSC(Balanced Score Card)

経営を管理するに当たり数値的に事業戦略の成果を表すことが必要で、これを数値で表したものをKPI「重要業績評価指標」といいます。 目標を達成する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のことで、前述したERPを使って定期的に(四半期ごと)にKPIを監視して経営戦略に役立てることになります。

KPIとともによく使われる指標としてKGI(Key Goal Indicator)(重要目標達成指標), KFS(Key Factor of Success)(重要成功要因)があります。これらはすべて、何らかの形で情報システム・ツールを利用して表現することとなります。

  • KPI:重要業績評価指標
  • KFS:重要成功要因
  • KGI:重要目標達成指標

KGIとKPIの関係は下図のようになります。

KPIの例

セールスのKPIとしてよく設定されるのが下記になります。

  • 新規売上
  • 新規顧客数
  • 新規リード獲得数
  • 有望見込み客数
  • 平均顧客単価
  • 商談化(案件化)数
  • 受注数
  • 受注率
  • 架電数
  • 通話時間
  • メール開封率

<WebマーケティングにおけるKPI>

  • (Webサイトの)訪問者数
  • (Webサイト内)回遊率
  • コンバージョン(CV)率
  • CV数
  • UU数
  • 重要ページ到達率(フォーム遷移率)
  • インプレッション(Webページの表示回数)
  • CVR
  • CTR
  • CV
  • CPA
  • (SNSの)エンゲージメント率
  • いいね数

上記の例でもわかるようにKPIは、業種や事業内容によって千差万別となります。

KPIを設定するメリット 


KPI導入には多くのメリットがあります。KPIを自身のビジネスに最適化するためには、設定の仕方だけでなく、どういったメリットがあるのかも把握しておく必要があります。

具体的には以下の6つです。

  • 目標(KGI)達成へのプロセスが可視化される
  • 実行すべきアクションが明確になる
  • 組織内での評価基準を統一できる
  • PDCAが回しやすくなる
  • 生産性が向上する
  • メンバー一人一人の成長を促す

業務プロセスマネジメント

業務プロセスとは「仕事の手順」ですが、かつては人手によって手作業で行われていとものが、情報システムの浸透により、よりソフトウェアで処理されることが多くなってきました。

業務プロセス(Business Process)

最初のチャプターでも業務分析と計画の項目で述べましたが、業務プロセス(Business Process)の改善は企業のIT戦略の中でも中核となる項目で、継続的にPDCAを続ける必要があります。 

業務プロセスに使われる手法・ツール

業務モデリング:一般に複雑化して理解しずらいプロセスをわかりやすく単純化し、図や表で表現する作業

業務プロセスに使われる手法・ツール業務プロセスに使われる手法・ツール

パレート図

パレートの法則(80:20の法則)で有名なパレート図とABC分析は、多くの用途で使われる業務プロセス分析手法なので、簡単に概要を述べておきます。

サンプルとして、製品の品質問題の分析を考えてみると。

On-Demand-One

パレート図というのは、誰でもがすぐに理解できるだけでなくExcelの自動グラフ作成にも入っているので、ITシステムなどの面倒なものを購入したりする必要がありません。

また、パレート図を使ってABC分析を行い、改善等のAction Planを作成することができます。

ヒストグラム&レーダーチャート

散布図と回帰分析

これらの分析ツールはエクセルのグラフなどを使用することができ、簡単に作成することができます。

BPMN(Business Process Modeling Notation)

国際規格(ISO/IEC 19510)になっているBPMNは、すべてのビジネス関係者が容易に理解できる標準記法を決めている。ビジネスプロセスのモデリングは様々な手法があるが、BPMNそれらに共通する言語と定義を提供し相互利用が可能になる。

BPMN

モデリング

業務プロセスの改善にあたり、最初のステップとして、複雑な業務プロセスを単純化して視覚的に見やすくするモデリングが必要です。

業務モデルを表現する方法は多くあります。

DFD(データフロー図)

E-R図(Entity-Relationship Diagaram)

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