組織開発

DXの概要図の中の組織(組織開発)についてとりまとめました。

まず、組織については、非常に多くの見解が世の中には存在しており、目的や視点がかわるとずいぶん論点が変わってきます。DXについても、多くの人が組織論を述べておられますので、全部を取り上げるととりとめのないものになりかねないので、あえて私の視点から絞り込んでまとめてみました。特に、中小企業、とりわけ自社のケースを念頭にとりまとめておりますので、一般に流布されている大企業ターゲットの議論は省いておりますので、ご理解いただきたくお願いいたします。

まずは素朴な疑問から、(例として10年以上存続している会社を仮定して)

「今自社の組織構成やプロセスは、誰がどのような目的で、何に注目して作ったのでしょうか?」

いうまでもなく、組織は、その会社のビジネスが最も効率よく売上と利益を最大化できるように作られるべきものだと思います。設立当初は、おそらく明確な意図と理由があって、組織がそのように作られたわけですが、もしそれが10年以上経過した会社の場合に、当初設立した人々は会社を離れてしまっており、現在の会社を構成している社員(経営者も含め)が、何故こうなっているのか?わからないことも多々あるのが実情でしょう。

年月が経過すると、ビジネス環境が変化し、ビジネスそのものが変化するのが今日のIT業界です。そして多くの会社が、環境変化に対応して組織を変化させているかというと、なかなかそうなってはいないでしょう。ただでさえ、組織というのは変化しづらい代物なので、DXや新規事業となると、それに対応することは相当難しいであろうことと推測できます。

いうまでもなく、DXというは、目的を達成する為に、会社が大きく変化することが前提なので、安易に「ちょっと2-3人デジタルに詳しい若いのを雇ってDXをやらせよう」みたいな考えではとうてい達成することができないでしょう。デジタルトランスフォーメーションに、「なんで組織開発とかが関係するんだ?」と疑問もあろうかと思いますが、端的に言うと「組織開発なしにDXはありえない」というのが一般のDX専門家の意見です。

しかしながら、会社の中にいったいどれだけ組織開発の専門家がいるかと考えると、常識的にはほぼゼロに近いでしょう。従って、DXの話が持ち上がった時に、どんな選択肢があるかというと、

  1. デジタルに詳しい者を社内で探して、その人にやらせる
  2. デジタルITに詳しい者を外部から雇ってきてやらせよう
  3. 〇〇部が近いので、そこにやらせよう
  4. みんなで会議をして決めよう、

など、といった対応になるわけです。 なかでも注目しなければいけないのは、DXの重要な要素である「組織開発」、「企業風土、文化」、「人材開発」というソフト面の考察が抜け落ちていることでしょう。ある程度経営経験があれば、これらの重要性は直感的に理解できると思いますが、具体的な方法論まで踏み込むケースは少なく、上記の要素の中の、ある一面だけを見て対応することが多いでしょう。

前置きがながくなりましたが、ここのポイントがよく認識されれば、後で、悔いを残すような大きな失敗はなくなると思います。具体的な方法論は、会社ごと、時代ごと、製品ごと、いろいろな状況で千差万別になるでしょう。ネットで調べても非常に多くの書籍がありますので、とても全部読んではいられないでしょう。ある特定の理論にとりつかれてやろうとすると、もし自社の事業環境に合わなければ失敗します。 どんなやり方であれ究極的には、企業の継続的な売上と利益が確保できればいいわけですが、簡単ではないと思います。私も組織論の専門ではないので、どうこう言えませんが、経営のセンスの勝負になるのかもしれません。

本論に入る前に、ここで組織開発といった場合に次の2つのカテゴリーを分けて考えています。

  1. DXを導入するための組織の構成
  2. 既存の組織を新しい事業に適用させる為に、どのような組織にするか(DX組織は除いて)

以下のChapterでは、最初に共通項目、そして1番目の話をし、その後で2番めの話になります。

組織開発の目的

ビジネス環境は常に変化を続ける。一例ではあるけれど、昨年度発生したコロナが多くの企業に変化を要求してきている現実があります。ANAが、撤退させる古い機材の操縦桿を120万円で売りに出しています。真剣に機材を分解して、部品を航空機マニアに高く売りつけて事業化しようとしています。 コロナに限らず、常時世界ではDisruptorが出現してきて企業に変革を迫っています。

ANA、退役767の操縦桿やモックアップシート販売 1000万円超の売上見込む

長期的にみれば、1950年から今日まで大きな環境の変化がいくつも起きて、そのたびにサバイバルする企業と消えていく企業がでてきた。サバイバルする為には、企業は非常に多くのことをやらなければいけないけれど、その一つが組織開発ということになります。

世の中で働き方改革が叫ばれて久しいですが、このような環境条件の変化は、実は組織の形態に大きな影響を与えているわけです。例えば、数千人を超える人を抱える会社が完全オフィスレスで成り立つ時代になっているのです。組織の考え方も働く人々の考え方も変わってきていることをよく理解した上で組織開発を始め、もろもろの改革を進めていく必要があります。

目的はシンプルで、企業がサバイバルすること、そして発展すること。そのためには組織開発は必須と多くのビジネスエキスパートが考えています。しかしながら、実行する会社は非常に少ないというのが実情です。理由は簡単で、

  • 将来の市場環境の変化が会社にネガティブの影響を与えることを、察知できないこと
  • わかっていても現在問題ないので、その状態に安住してなにもしないこと
  • 将来の問題に気がついて、アクションをとっても、ビジネスの一部の要素(技術とか人材)のみに注力し、組織開発(改革)の重要性に気が付かないこと
  • 一部の社員が組織の重要性に気がついても、マネジメントの理解が得られずアクションがとれないこと

組織開発と人材開発の違い

ちょっと脱線しますが、なんとなくわかっているようでわかりにく組織開発と人材開発の違いについて明確にしておきます。

  1. 人材開発は、個人の能力開発
  2. 組織開発は、個人ではなく、個人が集まった集団(チーム)の能力開発

個人の能力が高まれば、自動的に全体の能力も高まるというのは全くの間違いです。

教科書には、組織開発を「人と人の関係性、相互作用」が会社の業績にポジティブに働くような施策、などなど……. 書いてありますが、平たく言うと、

大勢の頭がよくて、特定分野の能力が高いプログラマーばかり集めても、この人達が狭い視野で自分の考えだけで行動すると、DXは成功しないかもしれないということです。そして、もし経営のレベルで、綿密な計画と組織づくり、そして風土づくりをしないで、ワーキングレベルに対して「みんな協力してやれよ」と号令をかけただけであれば、100%失敗するのが会社の組織です。このことをしっかりと理解したマネジメントが必要で、それが組織開発の根底にないとなかなかよい組織づくりはできないと思います。一昔前は、技術だけあればなんとか成功したのですが、近年の市場競争が激化している中で、勝ち残るためには技術側面(ハード面)と同等の人間性(ソフト面)のマネジメントが必要になってきています。

コロナ禍で、リモートワークというどうしようもない制約が発生した今日、これに順応できている会社もあれば、そうでない会社もあります。「業種によってリモートできる所と、できないとこあるんだよね」といった浅薄な理解で終わっているケースも多いでしょう。私も専門家ではないですが、詳しく分析調査した人々の見解を見ると、(昨年に一部レポートしました)一般の企業の理解はきわめて不十分であるように思えてなりません。

スタイナーの公式

既にご存知の方も多いでしょうが、集団の力の本質がよく分かる図がありますので掲載します。詳細説明はリンクを張りますので、そちらを御覧ください。

実際の生産性 = 潜在的な生産性 ー プロセス損失

一人一人の持っている潜在能力の総和(潜在的な生産性)」- 「複数名で協働する過程で発生する一人一人の潜在能力のマイナス(プロセス損失)」が、集団の生産性になるという考え方です。

あなたの会社は大丈夫?社会心理学者スタイナーが説く社内コミュニケーションの重要性
社内コミュニケーションの良し悪しは仕事の生産性に大きく影響を与えます。本記事では社内コミュニケーションと生産性がどう関係するかのかを、アメリカの社会心理学者スタイナーの公式や事例などを用いて説明していきます。

上記の話に関連してですが、よい例として、単純な足し算以上に、組織が力を発揮する可能性もあるということは重要なポイントだと思います。

大企業病

ずいぶん古い言葉ですが、この言葉は現在も確固たる存在感をもって多くの企業を支配しています。政府の「縦割り」とか、典型的な例だと思われますが、大企業病をマトリックスでまとめている図がありましたので、あくまで参考で掲載します。(参考までに、原因症状の説明サイトのリンクも)

大企業病とは?5つの症状や原因、対策方法6選について解説
大企業病は、社員数や規模に関係なく、どんな会社でも起こる問題です。規模の大きな企業にありがちな保守的な雰囲気や社内政治、旧態依然とした組織系統は、企業の発展を阻害します。具体的な症状や改善方法など、大企業病について解説します。

大企業病と聞いて、私も、「ああ、よくある話だよね、わかってるよ」という反応をしていたのですが、上記の図のように詳細に分析したものをみて、簡単に理解できるものではないんだなと思った次第です。

また遅い日本のコロナワクチン

昨年も例題として載せましたFAXの件(写真だけのせます)

日本政府はデジタル庁云々やってますが、ワクチンがなんでこんなに遅くなるのでしょう。私は、高齢になっていつ死ぬかだけなので、何も怒りも不満も、もう有りません。(ため息がでるくらいです)これは、典型的な大企業病ですよね。多くの人の命がかかっていても、変わらないですね。意識と考え方をちょっと変えると他国のようにできるんでしょうが。。。。。。日本国民(政府?)にはまだムリッ!かもしれません。


日本政府のPCR検査の遅さについて(2020年)

PCR検査の結果になぜ3日かかるのか

コロナが急拡大して毎日、陽性者の数を東京都も政府も首を長くして待っております。(判断するための極めて重要なデータなので)月曜日の検査した結果は、木曜日まで待つのが現在の日本のプロセスです。
PCRの結果はクリニックでは、電子カルテに最初からデジタルデータとして入っております。
その内容を、人が画面を見ながら診断用紙に手書きで書き写します。
→ それを保健所にFAX → また、それを都にFAX → 数を数えて発表します。
手書き作業に百人投入して努力してるけど、どうしても3日かかると言っています。
IT化をやろうと思えば簡単で、専門家にやらせればシステム構築は簡単なので1-2日で出来ます。
そうなればリアルタイムで一時間ごとに陽性者の数値を政府も見ることが出来るでしょう。

でも、Theジャパン方式は違います。
このことは全国に報道されていますが、日本国民の大部分が「お役所なんでね」と半分あきらめます。(「集団での多元的無知」と呼ばれるらしいです。日本心理学会より)
ちなみに、日本政府のデジタル化率は7%程度だそうです。
先進国の中で最低です。

他人事ではありません

もし、同じ状況が自分の会社に起こっていたらどうでしょう。想像してみてください。

組織開発のベーシックステップ

Step 1 現状の問題点認識と共有

現在の問題、将来起こる問題の解明を行い、それを社内で認識共有する。

Step 2 新しい技術・知見の学習

問題の解決の為に必要と思われる、新しい技術、ノウハウ、知見を調査研究し、その内容を理解吸収する。この作業は、会社内のすべての関連する階層で行う必要がある。特にトップは不可欠。

Step 3 必要な行動作業を起こし、定着化

Step2にて、学習した知見をもとに、改革計画を立て組織開発を行う。この新しい組織とプロセスが社内に定着するまで繰り返す。

上記の詳細は、後ろのChapterでもっと詳しく述べます。

  

DX実行のステップ

Step 1 戦略とビジョンの決定

  • DX経営戦略(目標と実行計画)を明確にし、社内にメッセージを発信
  • トップを筆頭にプロジェクトチームを結成する

Step 2 リーダーの起用

  • スタートアップ等の経験がある/組織のマネジメント経験/経営者の経験/デジタルの知見

Step 3 専任プロジェクトチームの設立

  • 専任プロジェクトチーム、既存組織とは別の組織で設立するのが望ましい(組織形態ー後述)

Step 4 PDCA アジャイル方式で実行する

PDCAを繰り返し、最終的には専任プロジェクトを解散し、既存組織で動くようにする

抵抗勢力のマネジメント

新しいことを始めると必ず抵抗勢力が発生します。これは、どのような組織であっても起こる現象なので、なんらかの形でマネジメントする必要があります。抵抗勢力というのは、社内の特定の人や部門だけではなく、関連会社、提携会社、場合によっては客先なども含まれることになります。こういった幅広い抵抗勢力を野放しにした状態で、DXプロジェクトを実行しても効率が非常に悪い結果となってしまいます。これについては、日本ではあまり学術的/計画的に取り扱われていないのですが、会社の未来の為にDXが必要であれば、昔の慣習を超えて、計画的に抵抗勢力をマネジメントしなければなりません。

非常に簡単な計画ステップとして

Step 1 協力者と抵抗勢力を図示し見える化する

Step 2 それぞれのケースについて、対応責任者、対応策を明確に立てる

日本の一般的会社の習慣では、このような抵抗勢力マネジメントということ事態が、「これは本来の仕事ではない」、「これは私の仕事ではない」といった感覚があるので、依頼する方も、される方も、やりたくないのが実情でしょう。本当になんとかしなければ、というミッションが明確にならないと習慣は打破できないことになります。非常にハードルの高い項目です。

組織形態

DXを推進するための組織形態としては、いくつか考えられますが、代表的な4パターンを下記に図示いたします。 それぞれ一長一短があるので、会社によってどれを選ぶか検討が必要です。自社の場合には、おそらく4番目のハイブリッド型が、効力と組織への親和性に優れているのではないでしょうか。

IT部門拡張型

IT部門拡張方式は、すばやく対応でき、実行できる方式です。当然のことながら既存のIT部門にDXの知見とスキルセットが必要となります。しかしながら、一般のIT部門は、広いITの新技術などの知識は持ち合わせてないでしょうし、加えて組織改革などのソフト分野になると、ほぼ対応ができないかもしれません。逆に特定分野のデジタルの技術志向が強すぎてDXを間違った方向に向けてしまう危険性があります。特に、ITの部門長がDXの真髄を理解しない場合には、DXは通常の業務効率化にとどまったり、最悪は、DXの名のもとにビジネスとは逆行方向に走るリスクがあります。 特に、IT部門以外の事業部門はIT知見に弱いケースが多いので、間違った方向にいくことを止められないということが起こりうるので、なんらかの対策が必要でしょう。

事業部門拡張型

事業部内にDXを設置するのは、一番手っ取り早い(組織に受け入れられやすい)方法です。各事業の方向性とDXが一致するので素早い結果をだすことが出来ます。一方で、事業部独自の路線でDXが行われるので全社統一したDXは難しくなります。小規模なDXとして、最初にこの形でDXの意識を浸透させ、その次のステップとして全社統一DXに移行させるのがよいと考えられます。

全社横断型

DX戦略がすべての事業部門とうまく合意できると、統一されたデジタル化を推進できるし、多くの事業部の意見を取り入れることができるのが利点。しかしながら、各事業部にDXの知見やスキルを広く持たせることが、難しいところとなります。 そこのところをうまくカバーしてやることが必要です。事業部間でITデジタル知識の大きな不均衡がある場合には、例えば、人事異動で均一化を図るなどの対処が必要でしょう。これを教育プログラムから始めると非常に多くの期間を要することとなるので、工夫をしてできるだけ事業部間のITリテラシーの格差がなくなるように対処が必要です。

ハイブリッド型

DX組織を独立させ同時にキーとなる人を事業部にも配置する。DXの戦略を全社レベルで確保しつつ全社にDXを浸透させることができる。しかし、このキーパーソンが事業部の数だけ必要となるので、この人材をどうやって確保するのかが問題となる。また、この独立した組織はヘッドCEOがDXの深い知見を有する必要がある。またCEOとDXヘッドの意思疎通が極めて重要なポイントとなるでしょう。

ソフト面のマネジメント

だんだんとあまり慣れない内容になっていくので、途中で飽きた方は飛ばしてください。理屈は簡単なので、「わかったよ」で終わる内容です(笑)

では、まずはじめに何故DXだけがそんな大それた「ソフト面」などと、議論の風呂敷を広げるのか?

  1. 単なるデジタル化・業務効率化の場合には、誰にもすぐ理解できる新しいツールを導入することだけ。特定の小さいチームで遂行できる。
  2. この場合効果もすぐに分かるし、個人の仕事環境・行動習慣に大きな変化はない
  3. 一方、DXでは、組織変更を伴う、大きなプロセス変動が起き、全体像を理解することが困難な場合が多い
  4. 人間は、理解できないことや、新しいことに不安感をもち抵抗しようとする習性がある。
  5. DXで、会社全体の人々への行動変容が必要なときに、全員が無意識に抵抗勢力となりDX推進がすすめられない(前記の日本のコロナ検査の例)
  6. この抵抗勢力(意識)は、非常に強いので、単なるプロセス変更や、通知を回し命令するだけではほとんど機能しない。
  7. 根底にある人間の行動、習性を変える必要があるため、ソフト面の対応が必須となります。

ソフト面のイメージを下図に示します。

ここで、メディアでも有名なJALの再建の記事を御覧ください。

大田さんは倒産当時のJALの状況をこう振り返っています。「どの部署の人も言い訳しかしないんです。自分は一所懸命やってきたし、悪くないと。そしてあからさまに他の部署を批判するのが当時のJALという会社の特徴でしたね。

稲盛和夫がJAL再建に成功した最大の理由|人間力・仕事力を高めるWEB chichi|致知出版社
人間力・仕事力を高めるWEB chichiの、稲盛和夫がJAL再建に成功した最大の理由のページです。

集団意識を変えることは、並大抵のことではないと思います。会社の規模が大きくなればなるほど困難になってきます。新技術のツールを買ってきて、作業プロセスを作ったので、「うまくいくはず」、出来ないのは、「社員がしょうがないんだよね」といった話はよく聞きますね。理論を口でいうだけでは、何も起こらないですね。(すいません、私も言っているだけかもしれません)

具体的にソフト面にどう対応するか、という点は、私も明確にソリューションができるわけではありません、というか、話すととりとめもなく長くなるといけないので、ここでは、目に見える主題の組織開発に話をもどします。

組織開発(DX以外の部分)

先に述べたベーシックステップをもう少しわかりやすく図解します。

ここで、一番下の段は、市場にでまわっている一般的な手法の代表的なものですが、本質的に同じものであればどんなものでも構わないでしょう。

ステップとしては、誰でもわかるシンプルなものですが、前章で述べたように、どのステップも相当ハードルが高い内容となるでしょう。

たとえば、すぐに思いつく内容ですが、

Step 1 新規事業をやるといっても、そのプランに全体のコンセンサスが得られるか?

Step 2 具体的なプラニングでは、影響を受ける抵抗勢力をどうマネジメントするか?

Step 3 新しいプロセスが、まずは、うまく機能するかどうか?そしてうまく行った場合でも組織に拡散定着できるかどうか?

新規事業となると、計画力、実行力、人間力、技術力などが必要で総合格闘技となるので、覚悟が必要でしょう。

アクションリサーチ

DXに伴う組織開発にあたって、どうやって実行するかという方法論については、既に、世の中にはいくつかのツールというかやり方が研究者によって開発されており、その一つがアクションリサーチとよばれるもの。アクションリサーチの定義を調べてみると、「社会が抱えるさまざまな問題のメカニズムを、研究者と個々の問題の当事者が基礎的研究で解明し、得られた知見を社会生活に還元して現状を改善することを目的とした実践的研究である」。いろいろな分野に使えるように作られているので、定義だけ見るとわかりにくいので、下記に図で表現してみる。

一般化された表現になっているが、左上から、

  1. まず、現状の課題・問題点を洗い出す。
  2. 次に、その解決方法を考え、実行(Action)する。
  3. その結果を評価し、それに基づいて、さらに改良されたアクションにつなげる。

特に変わったところはないが、この実行過程で、多くのデーター収集と分析をより広い視野で正確におこなう。Action →Research x N(繰り返す)ことで、このプロセスがより厳密に確立されているとのこと。

ワールドカフェ

これは、タイトルの表すように、リラックスしたセットアップで参加者がトピックや問題解決について意見を出し合って討論する集合型ワークショップ。一般に行われているブレインストーミングと似ているが、より自由な環境で集合知を創出していくことと、同じテーマで、メンバーをシャッフルして繰り返すことが特徴。実行プロセスを下記に図示する。

ワールドカフェ」のメリットや実践法 - AP貸し会議室

その他、フューチャーサーチなど、いくつかの手法が開発されているようです。具体的な方法は、実際に実行段階で検討し決めていくことになりますが、ここで、大切なポイントは、特定の人や少数の担当者にこの仕事を任せるという昔ながらのやり方では、よい解決策にはならないということです。かなり大勢の社員を巻き込んでプロセスを実行する必要があるので、コストと時間がかかることになりますが、このプロセスを行うことによって、今までになかったアイデアも出るし、また、実行段階で社員全員が組織改革に肯定的に参加するようになり、抵抗勢力も小さくなるわけです。

組織開発参考記事

組織開発について調べてみると、非常に多くのやり方があり、なかなかどうやっていいのかわからないかもしれませんが、下記に関連記事を紹介しますので、いくつか見ることで、組織開発の理解が深まり、そのイメージが定着してくることと思います。ある程度全体像がつかめたら、具体的に自社にあった手法を見つけ出すことが必要で、そこのところは自分でやらないといけないと思います。

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簡単ではありますが、以上で、組織開発のまとめとさせていただきます。DXを推進し、新規事業を立ち上げようとすると、技術的な部分でもかなり大変ですが、会社がビジネスを成功させるためには、非常に多くのファクターを同時に考えて改革を取りすすめる必要があります。

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