RPA基本の要約から
まずはRPAの基本の内容からの続きとなります。
特徴
まずはRPAの基本で説明したことを簡単にまとめると、下図に示す3つの背景からRPAが注目を集め、2016年ころから市場に進出を開始し、新技術の典型的なハイプカーブの最初のピークからの下落を終了して、2020年ころからコロナの追い風もあり、現在、急激に増加しようとしている状況です。
RPAソフトウェアの特徴
•プログラミングなしで人間がやってきた繰り返し作業を代行してくれる
•既存のシステムに影響を与えない
•ユーザー部門主導で導入可能
RPAが得意な領域
RPAに向いている作業内容
RPAで、できること(RPAのレベルにもよります)
① キーボード操作を自動化できる
② マウス操作を自動化できる
③ 画面上に表示された文字を判別して取り込める
④ 画面の図形や文字の色などの属性が判別できる
⑤ 多種多様なアプリケーションを起動、終了できる(ID やパスワードの自動入力)
⑥ スケジュールされた日時に実行できる
⑦ カスタマイズが簡単
⑧ 業務の手順変更に柔軟に簡単に対応できる
⑨ 異なるアプリケーション間のデータの受け渡しができる
⑩ 離れたところからの遠隔操作ができる
⑪ 複数PC の制御ができる
⑫ ワークフローや手順書通りの操作ができる
⑬ エラー処理など、条件分岐した処理ができる
⑭ 過去のデータを基に分析できる
将来への発展プロセス(現在はクラス1の状態)
クラス1 Robotic Process Automation
- データ入力や、複数アプリケーションの連携が必要な単純作業の定型業務
- 人事・経理・総務・情報システムなどの間接部門(バックオフィス)の事務・管理業務
- 販売管理や経費処理、アプリケーションをまたがった入力処理など
(この前の章で述べている内容はこのclass 1)
クラス2 Enhanced Process Automation
- 構造化されていないデータの収集や分析が必要な業務
- セキュリティログの分析、様々な要因を加味した売上予測、Web のレコメンド広告など、多種のデータを基に分析を自動化する処理
クラス 3 Cognitive Automation (AI)
- 大量のデータを基に学習して最良の判断が必要な業務
- ヘルプデスクや、季節や天候に左右される仕入れ管理、経済情勢を加味した経営判断など、人間の能力では不可能と思われる膨大なデータに基づく予測をする業務
まだ、Class1であっても、企業が導入するにはまだまだ多くの障壁があるので、今後どのように発展していくのかは注視する必要がある。導入にあたって考慮すべき内容については後述する。
現在のClass1(RPA)のコストは安い
将来来るであろう3番目のクラスの「Cognitive Automation AI」に該当するディープラーニングを利用した仕組みのレベルが出来る会社は、ビッグデータを扱える大企業レベルの大きな組織だけとなります。(先行投資額が巨大)
クラス2の非構造化データの分析を自動化する場合においても、かなりの投資が必要となる。
一方Class1つまり、現在のRPAでプロセスを自動化したい業務の大半は、ビッグデータには関係なくAI に頼らなくても自動化できる繰り返しの操作や単純作業がほとんどなので、このようなRPA は、数百万円ほどの投資で低価格で導入できるものが多くある。
つまり、現時点でのRPAは、ほとんどがClass 1と考えて良い。特に、日本はエクセルベース、FAXベース、手書き書類、印鑑ベースが根強く常識化しているので、Class1の導入が第一の目標となるでしょう。
メリット
Digital Laborの代替え利点(人間をリプレイス)
特に、説明するほどのことではないが、細かく見てみると以下のようなメリットがある。
- 仕事が速い
- 操作が正確
- 休憩不要、有給休暇不要
- 残業、部署異動、業務変更可能
- 労働組合不要
- 遅刻・早退なし
- 不平不満を言わない
- パワハラ、セクハラ問題なし
- 社内恋愛しない
- 中元・歳暮・年賀状不要
- 敬語、根回し不要
- 給与・ボーナス・退職金不要
- 昇進・昇格不要
- 時間外手当不要
- 通勤手当・家族手当不要
- 社会保険・厚生年金不要
- 指導、業績査定不要
- 報告・連絡・相談不要
- 社員旅行、福利厚生不要
- コミュニケーション不要
- 無駄口ゼロ
- 飲食・つきあい不要 など…
デメリット
一番目のデメリットは、システム障害のことであるが、人間も病気や怪我、事故などでサービスができなくなることはあるので、RPA独自のデメリットとはいえないかもしれない。
二番目のロボットの管理については、気が付かない重要項目である。これは業務ルールの変更があるたびにシステムに変更を反映(覚え込ませる)させなければいけないが、これがかなりの工数を必要としたり、また担当者(プログラマーでなくてもいいけれど継続的にシステムの内容を把握している)を異動や退職などの原因で、キープできないと大きな問題が発生する。
三番目のセキュアリティ問題は、ITシステム全般に共通する問題ですね。
BPOへの影響を理解する
RPAの対象となる業務は多くの企業がBPOを(Business Process Outsourcing)行っているケースが多い。 発注する企業にとってアウトソーシングされた業務を引き続きBPO業者に委託するか、RPAを導入し内製化するかを再考する必要性が出てきます。
一方BPO業者は中国やインド等の低賃金リソースを利用してビジネスを展開してきたが、顧客企業がRPAを導入すると、最悪では仕事そのものがなくなってしまうことになりかねない。この下請けBPO会社にとってはビジネスモデルの転換が必要となる。学術研究によると、RPAが世界の労働市場で生産性と効率性の新たな波を作り出すと予想されており、其の結果、2035年までに全雇用の最大35%が自動化される可能性があると推測されています。
RPAに要求される事項
さて、ここでRPAシステムに求められることをザックリとまとめてみると、
- 技術屋でなくてもプロセスをシステムに覚え込ませる作業が簡単であることが必要とされる。これはローコード、ノーコードの潮流にあったもので、この流れは変わることはないと予測される。
2. 次に、PCで行う作業は多岐多様にわたることに加え、全く同じプロセスの作業でも企業毎に作業人数、場所の制限など条件が違うと、自動化のやり方は代わってくるので、幅広い対応ができる柔軟性のあるシステムが求められる。
3. いうまでもなく休みなく、障害なく稼働するというRPAのメリットは基本的要求事項となる。
1番と2番の項目は、まだまだかくRPAベンダーにおいて改善余地が大きく、開発の重要ポイントとなっている。
ビジネスの拡大を支援する
RPAを導入することの本質は、経営のリソース(主に人的リソース)をノンコア業務から開放し、コア業務に投入することで、企業の競争力を高める重要なツールとなります。
① 業務量増大に対応できる
② 時短、品質向上による顧客満足度の向上
③ コスト削減による投資金額の増加
④ 人材不足の解消
⑤ 価格競争力の増加
⑥ 需要の変化への迅速な業務変更
⑦ モチベーションの向上
近年話題のAIももちろん拡大しつつあるが、まだまだ実用性に問題が多い。導入コストなど考えるとまずは、Class1のRPAからはじめる企業が大半であると考えられる。
RPA導入のケースサンプル
ここでは、もう少し具体的な例をいくつかウェブ上から拾ってまとめて紹介します。具体例を見ることで、よりRPAの理解が深まることと思います。以下の例は、実際にRPAで効率化できた実例をネット上で拾って、詳細を省き、私が内容を理解する例としてとりまとめたものです。
勤怠管理の自動化の例
現状:総務担当者がタイムカードの打刻モレをチェックし、該当する社員とその上司に対して、個別に注意喚起メールを送るという非効率な運用
改善:RPAで次の手順にて実行
①勤怠管理システムから条件に該当するデータを抽出
②該当者とその上司へのメール
名刺作成(印刷業)の例
現状:顧客から名刺作成者リストを入手後、対象者ごとの面付作業~印刷を手入力で実施
改善:RPAにより、顧客から名刺作成者リストを入手後、担当者が指定フォルダーへ保存するとIllustratorで面付~印刷までする、というワークフローを全て自動化
効果:名刺作成作業の時間・人件費が大幅に削減される
顧客への納期回答の例
現状:基幹システムから納期回答に関するデータを抽出したうえで一覧表を作成。そこから納期回答書に転記したあと、取引先にFAX送信するという業務プロセス
改善:RPAと④営業担当者で次の手順にて実行
①基幹システムから納期データを自動収集
②営業担当者ごとにデータを切り分けて、納期回答書を作成
③納期回答書はPDFファイルの形で、各拠点にメール配信
④営業担当者は送られたPDFファイルをそのまま顧客にメール送信
効果:納期回答書への転記が不要になり、93時間/月の削減
請求書の確認業務の例
請求書はどこの企業も毎月の定期作業で手作業でやっている場合が多い。RPAで自動化する例です。ただし、請求書は客先との個別の事情があることもあり、機械的に送って問題がないようにチェックの機能が必要な場合があると考えられます。
現状:請求書を経理部門で一括発行し、その内容を各営業所に電話で確認後、顧客に発送する業務
改善:RPAで次の手順にて実行
①請求書を顧客ごとにPDFで生成
②各営業所にメールで配信
③営業所から請求書内容をチェックした旨のメールがない場合、自動で督促メールを配信する
POSデータのダウンロード作業の例
これは、RPAが非常に効率的に適用される例となります。
現状:小売業者ごとにウェブで開示しているPOSデータのダウンロード作業量が多く、作業漏れやダウンロードデータの保管間違いが発生する
改善:RPAで次の手順にて実行
①朝8時にRPAが入ったPCが自動で起動
②各小売業者のサイトを順番に巡回し、POSデータをダウンロード
③ダウンロードデータを保管
効果:人手でやっていた2,000ファイル/週のダウンロードをすべてRPAに任せられた
士業、(社会保険事務所等)の作業の例
社会保険事務所等では、多くの場合手作業で、顧問先から送られてくる勤怠データと給与システムの社員マスターの突合作業、賃金台帳をPDF化して顧問先へメール送信、e-Govで申請した公文書のステータス確認とダウンロードなどを行っています。こういった事務作業をしている業種は数多くあります。
これらの一連の作業をRPAで自動化することができれば、大幅な時間とコストの削減が可能です。特に、士業の場合個人一人、または2-3名でやっている事務所は多いので、繁忙期にアルバイトを雇って定形作業をこなしているケースも多いですが、RPAを導入することによって、アルバイトを大幅に削減することが出来ます。
通販業務における在庫状況更新
通販をやっていると煩雑で労力がかかるのが在庫状況の把握、受注から出荷、入金までのプロセスの管理です。販売店、倉庫などが多数ある場合が多く過去の経緯などから一律に扱いにくいケースが多く手作業で処理をされていることが多い状況です。
現状: 一例ですが、自社ECサイトと社外ECモール在庫数の更新作業を1日1回実施、ECモールからの注文メールは手動で受注情報を入力、両者を突き合わせ在庫状況を把握
改善: RPAで、手動で実施していたECサイト上の在庫数の更新作業を自動化。さらに、ECモールの注文メールから必要項目をコピーし、受注入力するまでを自動化。
効果:RPA導入で、これまで手動で1日1回行っていた在庫状況の更新を、1時間おきに自動で行えることになり、機会損失を防止。また、データ作成にかかる工数を全て自動化でき、売上大幅増加。
紙作業をなくす
コロナ禍でテレワークが必要であっても、紙帳票処理のために出社しなければならないケースは非常に多くあります。在宅ワークで多くの企業が直面している問題です。
もう一つは印鑑を押すために出社しなければならない問題があります。こちらは、また電子印鑑のソリューションとRPAと組み合わせて、大幅な効率化を実現することが可能です。
- AI-OCR(OCR)
- 電子印鑑
こういった他のツールやシステムとの連携機能がRPAにとっては重要となります。
導入のノウハウ
今までのところで、だいたいRPAの基本的なことが理解できたので、実際に導入する場合のキーポイントについて解説致します。
手順の概要
Step 1 業務の棚卸し
現状の業務プロセスの見える化
RPAで自動化したい業務を、できるできないに関わらず、すべて棚卸しを行う。
まずは、業務がどのように行われているのか知る必要があります。業務フローを可視化して、仕事の流れを客観的に把握し、ボトルネックを浮き出させます。やり方としては、ひとつの業務を各プロセスに分割し、その流れを見ることでおのおのの関連性や因果関係を見ていきます。
ここで注意すべきなのは、業務マニュアルからプロセスマップを作るより、現場からの聞き取りによって、実態を正確に把握することです。プロセスごとにかかる時間の計測や業務遂行の状況も調査しておく。
このときに、できるだけ属人性を排除し、できるだけ業務を標準化することが大切。
業務プロセスを見直す(RPA以前の業務プロセス改善です)
(1)その業務は必要か
(2)その目的は何か
(3)他の業務と重複していないか
(4)そのやり方しかできないか
(5)順番を入れ替えられないか
などを確認し、自動化する業務を意識しながら再設計する。場合によっては、RPA導入しなくても不要と判断されて業務そのものがなくなったり大幅な工数削減ができたりすることもある。
RPAの前にプロセスそのものを最適化する
業務の流れをチャートで表すとプロセスの可視化ができる。
この可視化と最適化の後に、RPAに適しているかどうかを判定する
対象業務の決定
プロセスの見直しが出来たら、次に業務(フロー)のなかでどのプロセスがRPAに適しているかを特定し、改善対象として選定する。
RPAが得意とし効果があるのは、繰り返し、大量データを、ルールに基づいて処理するプロセス
ここで注意する必要があるポイントは、人にしかできない作業が入っているかどうかです。例外処理があるケース、ルールが複数ありRPA化が複雑になる、その都度人による検討判断が必要なものなどはRPA化が困難となります。この部分が一番設計で難しいところとなります。
Step 2 最適なツールの選択: RPA分類(Server・DT・Cloud)
RPAを適用するプロセスが明確になって、具体的にどのRPAを使用するかという段階で、基礎知識としてRPAの分類について知っておく必要があります。
サーバー型(オンプレミス)のRPA
自社サーバーにソフトウェアをインストールする「オンプレミス型」
デスクトップ型RPA
デスクトップ型RPAはパソコンにインストールして、そのパソコン内で完結するような個別作業の自動化に適したRPA。RPAロボットがパソコンのデスクトップ上で動くため、デスクトップ型RPAは「RDA(Robotic Desktop Automation)」とも呼ばれる。
クラウド型RPA
クラウド上でロボット働くRPA。クラウド型RPAを提供する企業が管理するクラウドサーバー上のRPAツールのため、Web経由でロボットを使用してWebブラウザ上で行う作業を自動化するツールになります。クラウド型RPAは、現在業務でクラウド型のサービスを利用している企業の業務効率化に適したツール。
RPAツールの選択(慎重な検討が必要)
ツール選択は簡単ではない。理由は、自社のユーザーのスキルレベル、情シスのキャパシティなどによって、それを使いこなせるかどうかという問題や、コストの問題、将来のシステム拡張計画、ベンダーロック問題など、経営的な観点からツールの選択を考えなければならないからだ。
ベンダーの選択時に必要な確認項目
- すべての目的業務と現状のツール(windows, mac, .etc, data形式など)に対応できるかどうか
- プロセスへのシナリオ作成の難易度(実際にやってみる)
- 動作の安全性セキュアリティと拡張性
- メンテナンスの難易度と柔軟性
- 価格体系・サービス・サポート体制など
具体的なレベルになるとベンダーごとに大きく異る事情や条件があるので、詳細を確認することは重要。大企業の場合と中企業、そして小企業それぞれの環境と条件が異なるので、選択は大きく異る。自分の知っている他社がうまく行ったからと言って、自社に導入してもうまくいかないでしょう。
例えば、大企業の場合は組織的なRPAガバナンス体制が非常に大きなウエイトを占めるし、実行時の障害は、技術者はいるので問題がないが、組織の抵抗勢力のコントロールが難しくなることが多いでしょう。小企業では、一番の問題は技術者がいないことが障壁となるでしょう。
ベンダーロックインを避ける
ITシステム全般について言えることですが、RPAの導入においてもベンダーロックインの問題があります。中立的立場で、かつ特定のベンダー色に染まっていない専門家によりコンサルテーションが必要となってきます。たいていの場合には、コンタクトしたベンダーの担当者がコンサルをすることになりますが、ベンダーの担当者は、当然自社の製品を売り込もうとするので、公平な立場で情報提供はしないでしょう。
また、ベンダーの担当者は自社の製品の勉強はやるけれど、多く存在する他社の製品は知らないこともあるので、そういった意味でも、第三者的専門家のコンサルが必要となります。
Step 3 導入体制づくり
RPA導入にあたって、現場を巻き込む姿勢と計画は非常に重要です。いうまでもなくプロセスの棚卸しには現場、各部門の協力が必須ですし、そのプロセスを改善する計画や、実行段階での協力を売るためにも現場の巻き込みは欠かすことができません。
推進部門と各事業部門が対立することは、よく発生する事象なので、これによってPRAの導入が著しく遅れるということも想定してタイムプランや内部統制の戦略を練る必要があります。
最終的には、トップダウンで行うのが一番いいと思われますが、現場の協力がないと、いくらトップダウンしても実行ができないとか、改善効果がみられないという事態が発生します。これはRPAに限らず新しい取り組みを行うと必ず発生する組織の典型的な抵抗勢力の問題です。
このことを理解して、事前に十分な計画と準備を行うことが最終的には全体のプロジェクトの進行が早くなることにつながります。
イレギュラーとのバランスを現場と相談
Irregular処理と複雑な判断
対象業務の決定 のところで触れたことですが、人間が複雑な判断をしているものをすべてRPAにしようとするとRPAの設定プロセスが複雑になり、現場の人が使いづらくなってしまいます。そうなると、もともと新しいことの導入に反対している勢力の強くなり悪循環に入ってしまうこともあります。
ここは、どこまでRPAにやらせて、どこまで人間がやるかの微妙な線引きをする判断が必要です。技術的な観点からだけでなく現場の意見を考慮しながら、かつ将来の拡張計画などもみて決める必要があります。
Step 4 「Small Start」で開始
最初は失敗しないことを重視して、効果の出やすい業務から始めることが観葉です。
RPAの特徴は、基幹システムなどの導入と異なり、部分的に開始して、様子を見ながら拡大することができ、また、途中で変更しても被害が少ないというメリットがあります。
Step 5 導入後の検証と評価が重要
検証と評価
再構築された業務フローにRPAを導入したら、その業務がきちんと遂行できているかの検証と、改善効果が出ているかの評価が必要です。変更によって、業務の精度低下や機能不全が起こっていないかどうか、そして、新しい業務フローの処理時間やコストを測定し、改善されているかどうかを定量的に評価することが重要です。
評価の結果に基づき修正の作業が発生しますが、これを繰り返すことによってRPAの定着と確実な改善結果を得ることができるわけです。
繰り返しになりますが、定量的に改善効果を把握することが重要です。ネット上で検索すると数多くのRPAに関する報告がありますが、サンプルとして某社の宣伝記事を下記掲載します。
運営とメンテナンス
社内の運用ルール作り手順書などを作る際に、•ロボットの名前の付け方の規則など統一
Small Startで構築したRPAを全社に広めるにあたり、運用ルールの策定、マニュアルの作成、訓練ツールなどの準備が必要となります。この運用ルールがないと、人事異動などが発生した場合に属人的なノウハウの移譲となったり、作業ができず以前の人海戦術にもどらざるを得なくなったりすることになります。
また、RPAは、実際の業務が変更になるたびに、手順設定変更が必要になってきますので、ノウハウを確実に組織的に維持する必要があります。
企業内の共有の重要性
RPAを導入するにあたり企業内の対象となる部署だけでなく、関連部署にもRPA情報を共有することが大切です。社内報や定期的な社内の情報共有会議などを利用して、RPAの成功事例などの情報を拡散することによって、今まで気が付かなかった部署においてもRPAを使った改善策が見つかるかもしれません。
また、RPAは業務プロセスなので、前工程、後工程の関連する部署との連携がないと思わぬ問題が発生する場合もありますので、情報共有は不可欠の重要事項です。
RPA導入での失敗ポイント
RPAは上述のように、そう簡単には使いこなすことはできないでしょう。失敗例も数多くあるので、某会社が作成した失敗を避ける為のチェックポイントリストを下記参考までに載せておきます。既に述べたこととダブっておりますが、③、④、⑦はちょっと見ておくとよいと思います。
RPA業者サンプル情報
RPAサービスを提供しているベンダーは非常に多い。というよりITベンダーは、ほとんどなんらかの形でRPAのサービスを販売している。このような激烈な競争環境の中で、きっちりと比較スタディをしてベンダーとツールの選択をするのは極めてたいへんな作業となる。
従ってたいていの場合既に取引のあるベンダーの持っているツール(パートナーも含む)を導入することが多い。全く新規に導入する場合は、是非主要なベンダーとツールを比較検討するといいでしょう。
ランキング
ネットでのランキングは、報告事態がベンダー色が混ざっているので、正確かどうかはわからないが、ランキングをいくつか比較することで、ある程度自社にあったものの目処をつけることができるかもしれない。日進月歩で、新製品の開発サイクルも早いので、常に動向を見ておくことが大切です。
以下、ランキングなどベンダーを探す際に、便利なWeb Siteの参考資料です。
IT Review
ITトレンド
グローバルで活躍するRPAベンダー
日本のベンダーは前項のITReviewなどで数多くでてきますので、そちらで調査すればいいと思います。RPAはグローバルベンダーも巨大な企業があり、日本のベンダーもそれらと提携しているケースもたくさんあります。Automation Anywhereのプラットフォームはは、ソフトバンクも採用しているベンダーです。
以下、主要ベンダーのリストを紹介します。
Automation Anywhere (US CA)
RPA のソフトウェアベンダーではシェアNo.1。 Automation Anywhere Enterprise は、ソフトウェアボットと共に構成されWindows 環境で稼働し、主な設定は、タスクエディタにより、 自動化したい作業ステップを記録し、スクリプトを作成します。
Web サイトのデータ抽出やスケジュールされたファイル転送などの一般的なタスクを自動化する数十種類の事前構築タスクテンプレートが含まれています。 光学式文字認識(OCR)やJava との統合などの高度な機能を備えたオプションの統合パックを購入することで、幅広い外部アプリケーションと統合することができます。
Blue Prism (UK London)
社名と同名製品のBlue Prism は、Microsoft .NET Framework 上に構築されます。様々なアプリケーションを、さまざまな方法(ターミナルエミュレータ、シンクライアント、Web ブラウ ザなど)で提供されるあらゆるプラットフォーム(メインフレーム、Windows、WPF、Java、Web など)にて自動化します。比較的に価格は高めで、PCI-DSS、 HIPAA、 SOX などをサポートし、 主に大企業向けの高いセキュリティが必要とされる領域に強く、サーバーでの中央管理方式のシステムを提供しています。
UiPath (US NW : UiPath 株式会社)
UiPath は、ソフトウェア開発キット(SDK)の開発でルーマニアで設立され、現在米国を中心に活動しています。UiPath Studio は、コードの記述なしに、豊富なテンプレートライブラリーにより自動化の設定を記録できます。
UiPath Orchestrator は、ログやリソース管理、資産管理まで、全端末を幅広く管理します。UiPath Robot は、完璧な精度でプロセスを自動化します。
WorkFusion (US NY)
WorkFusion は、バックエンド作業をディープラーニングを使って改善することを目的に設立 されたAI のスタートアップです。WorkFusion RPA Express を企業向けに無料で提供するなど、 戦略的な活動を行なっています。
Pegasystems (US MA:ペガジャパン)
Pegasystems は、自社のBPM やCRM を補完する目的でRPA のOPENSPAN 社を買収し、ロボット、分析、ケース管理を統合して提供します。日本をはじめ、アジア、欧州、北米の35 箇所 に拠点を構えています。
NICE (ナイスジャパン株式会社)
株式会社アイティフォー、 三井情報株式会社、 ログイット株式会社等がパートナーとして販売。 管理サーバーによる集中的な運用管理の方式で、ロックされた画面の背後で実行する機能やロボットの接続監視機能などがあります。
Redwood Software (US NC)
ERP プロフェッショナルサービスの経験があり、Redwood robots は、Oracle やSAP のERP システムと連携して、物流や電子取引、財務などあらゆる分野での作業の効率化を実現します。 日本では、リアルテックジャパン株式会社などがSAP 自動化等でパートナー販売しています。
Kofax (US CA : KOFAX Japan 株式会社)
OCR ソフトを富士ソフト株式会社等などが販売していますが、Kofax が買収したKapow 社がKofax Kapow というRPA 製品を持っており、RPA テクノロジーズ株式会社が、OEM 契約により、BizRobo!として日本で大々的に展開し、株式会社日立システムズをはじめ、多くの企業がBizRobo! を提供しています。 優れたUI を持ち、仮想マシンによるロボットの集中管理も可能です。
業者選定の基準と考察事項
IT業者の選定は、RPAに限らずほぼ同じようなチェック項目となります。RPAで特に注意したいところは、やはり将来の拡張性や柔軟性がありベンダーロックがかからないようにすることだと思います。
継続と長期的な進化と拡張
RPAの導入で確実に改善が達成できた実績を基に、企業としてはさらなる競争力今日が求められてくるわけです。次のフェーズとしては、AIの導入に向けての検討になるわけですが、この段階からは本質的なDX(Digital Transformation)の考察も必要となってきます。その部分を別のチャプターで議論していきたいと思います
Thank you