日本政府の計画(衛星通信)

ITデジタルマーケットにたいする日本政府の方針は、多くの企業に大きな影響を与えます。十数年前から、政府は日本の国策として様々な対策を打ち出してはいますが、近年DXの遅れが世界の中で、目立ってきています。特にコロナを機会に日本のデジタル化の遅れが世界的に明確になってきました。今まで、隠されていたものが一気に公に出てきたということです。今回のテーマである衛星コンステレーションに関しても、同様の傾向が見られます。政府の政策は、あまり目立ったものが見当たらないのが現状です。一方民間のビジネスの観点からは市場は今後急拡大すると見られています。

日本の検討分科会(衛星通信と宇宙ビジネス)

最近のニュースから日本の衛星ビジネスへの取り組みの状況を見てみましょう

2021/07/19 ニュース  政府が開発支援

政府は来年度、国産の小型人工衛星による観測網の早期構築に向け、企業を支援する取り組みを始める。小型衛星の撮影データなどをあらかじめ5年分程度買い取る契約を結ぶことで、事業化までの資金調達を継続的にサポートし、世界に対抗できる企業を育成する。

【独自】小型衛星網の構築へ、政府が開発支援…観測データを事前購入
【読売新聞】 政府は来年度、国産の小型人工衛星による観測網の早期構築に向け、企業を支援する取り組みを始める。小型衛星の撮影データなどをあらかじめ5年分程度買い取る契約を結ぶことで、事業化までの資金調達を継続的にサポートし、世界に対抗

昨年度の政府の報告より

高度約500kmの軌道を利用する衛星コンステレーションによるKu帯非静止衛星通信システムによる新たな通信サービスが令和3年から開始される予定であり、我が国でも本サービスを導入可能とするための検討を開始(資料は下記をダウンロードください)

日本独自の衛星網構築 政府、宇宙計画工程表改定へ(6/29)

Space X、Blue Originなどのニュースに日本政府もあわてて、いろいろ方針を出しはじめましたが、やはりかなり遅れているようですね。

(重点事項では「わが国独自の小型衛星コンステレーションの構築」を明記。民間企業の衛星開発や打ち上げを促進し「新たな宇宙技術を獲得・蓄積しながら、国際競争力のある産業基盤を構築する」)

記事は下記

宇宙開発戦略本部会合で発言する菅義偉首相(手前から2人目)=29日午前、首相官邸(春名中撮影)

菅総理の説明ビデオが下記リンクにはいっております。

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安全保障上、防衛上の観点からも衛星コンステレーションは重要課題

政府、米「小型衛星群」構想に参加検討

低軌道に高性能センサーを持つ多数の衛星を配置してミサイルの動きを正確に観測しようとする米国の「衛星コンステレーション(星座)」構想に関し、日本政府は一部の衛星の生産・打ち上げで参入を検討する。従来のミサイル防衛システムでは迎撃が難しい中国、ロシア、北朝鮮の新型ミサイルに対抗する構想への協力方法に関し、2021年度から本格検討を始める。衛星への搭載を視野に、広範囲・高感度でミサイルを探知・追尾できる赤外線センサーの開発も進める。

ビジネスの観点から衛星コンステレーションを見る

通信衛星の市場規模は、NSRのレポートでは2015年時点で約1.5兆円(約140億ドル)とされており、2020年時点においては約1.7兆円(約160億ドル)にまで達することが想定されています。従って今後参入する企業も爆発的に増加するでしょうし、関連する技術分野の裾野は広いので多くの企業が衛星コンステレーションビジネスに関与してくることでしょう。

民間インターステラテクノロジズも健闘中(7月MOMO7打ち上げ成功)

経済産業省からも支援 (2015-から累計1.8億円)

既存の国主導による高価な大型ロケットに対抗し、枯れた技術を用いた小型のロケットで超小型衛星を安価に打ち上げるシステムの構築を目指すインターステラー。宇宙機エンジニアである野田篤司の超小型衛星を打ち上げられる最小構成のロケットという構想を元に、当時ライブドア社長だった堀江貴文がスポンサーとなる形で2005年に開発がスタート。

MOMO7号機、打ち上げに成功 – 目標高度にはわずかに届かず 7月3日17時45分(日本時間)

本年7月3日に13回目の打ち上げを実施(以下Wikiよりの情報)

政府国産衛星強化へ調査機関を設立3億円(2020/12月)

小規模ながら政府も支援を強化 2020/12/17ニュースより

政府が人工衛星の国産態勢強化を目指し、来年度から官民合同のシンクタンクを新たに設立することが17日、分かった。内閣府と文部科学省は来年度予算案に調査費など関連経費計約3億円を計上。世界的な需要拡大が想定される通信衛星分野で国内外の市場ニーズを調査分析し、国内企業の国際競争力を強化することで自立した生産態勢の確立を目指す。

 政府が新設するのは、国内衛星メーカーなど宇宙関連企業OBら民間人を中心とするシンクタンク。10~20人規模で立ち上げる。関連経費の約3億円を内閣府と文科省所管の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で折半する。

 シンクタンクは国内外の市場での衛星開発ニーズを調査する。この情報に基づき、8府省とJAXAなどが今年度中に設立する「衛星開発・実証プラットフォーム」が、海外展開を含む衛星開発戦略を立案する。

 日本の宇宙関連産業は、自立のカギとなる海外進出が遅れている。日本航空宇宙工業会のデータによると、宇宙機器関連に関し、平成30年度の日本の輸出額は178億円だったが、輸入は415億円。海外への輸出はトルコやベトナムなどにとどまる。

 国内では宇宙ベンチャーによる低軌道への小型衛星の打ち上げが盛んな一方、国際ニーズが多い高度3万6千キロの静止軌道へ投入する通信衛星は、三菱電機製の準天頂衛星「みちびき」などに限られる。国内で使用される通信衛星は米国製が中心だ。

宇宙ビジネスの動向

2005年米国政府の方針転換: NASAはスペースシャトル後継機の開発を民間に委託することを決定。自ら開発を行うことをやめ、民間が開発した宇宙船による宇宙飛行サービスを購入することに決めた。そして2010年には当時のオバマ大統領が官民連携で宇宙商業化を行う方針を発表し、これまで国家が実行していた「宇宙開発」が民間に門戸を開くことになった。

以降、宇宙産業の世界売上(スペース・エコノミー)は順調に伸び続けており、2005年の1,760億米ドル(1ドル100円換算で17.6兆円)から、2018年には4,150億米ドル(約41.5兆円)規模まで成長している(図1)。

図1:世界の宇宙産業の売上(スペース・エコノミー)推移

宇宙ビジネスの分野

宇宙ビジネスは、おおまかに下記の4つのグループに分類することができる。

グループ1:ロケット・衛星開発製造、打ち上げサービス

ロケットや人工衛星の製造・打ち上げや地上局など、いわゆる宇宙機器産業。小型衛星の多数コンステレーション事業の増加が追い風となっている。

グループ2:宇宙データの利用サービス


人工衛星で取得されるデータが、地上のさまざまなデータとあわせてAIで解析されることにより、あらゆる産業に新たな価値をもたらすと期待されている。

グループ3:宇宙ビジネスを支える関連ビジネス


宇宙事業にかける保険ビジネスやサイバーセキュリティなど、宇宙ビジネスを展開するにあたり必要となる関連ビジネスの成長が見込まれている。

グループ4:新たな宇宙ビジネス


宇宙アクセスが容易化することで、宇宙資源開発、宇宙旅行、宇宙デブリ除去など、さまざまな新しいビジネスの登場・発展が期待されている。

宇宙データの利用サービス

上記の4グループの中でも宇宙から得られる膨大なデータの利用分野に注目が集まっている。

後宇宙開発がさらに進めば、地上から入手している現状のビッグデータに、衛星などから得られた「宇宙からしか得られないデータ(=宇宙データ)」が加わることになる。そこで得られたアクショナブルデータ(行動に繋がる実用的なデータ)により、経済予測精度が圧倒的に向上し、データエコノミーが大幅に加速する

「たとえば、ボストンのベンチャー企業デルアス・ラボは、衛星画像や気象データなどを掛け合わせることで、農業における生産高などを高い精度で予測するツールを開発している。宇宙データは既にスマート農業などに貢献している。

農業に関連して、大豆やトウモロコシの穀物は商品先物取引として、金融に大きくかかわってくる。実際に、経済予測の素材として衛星データを投資銀行やヘッジファンドなどが購入している。

このように、今後「宇宙データ」は宇宙の領域を超え出て、さまざまな業界の在り方を変容させていくことが予測されている。

「他にも、たとえば宇宙から大型ショッピングモールにおける駐車場の駐車台数を観測して業績予測を行うツールなどが登場していますし、宇宙データを用いた保険商品を発売している企業もあります。

今後は、さらにあらゆる業界において宇宙データの使い方が検討されていく。そしてそれに伴い、データサイエンティストの需要も増していくはずです」

「宇宙データ」の活用方法をいち早く見出し、自社のビジネスに活かすことができるかどうか。それが今後のビジネスを大きく左右するといえそうだ。

宇宙データの民主化は今後あたりまえ

いち早く衛星画像データを無料で一般に開放したのはGoogle MapとGoogle Earth 16年も前のことである。 今日では世界中の人々が無料で地球上の衛星画像を見ることができる。Google earthは自然災害への対応、Virtual field trip, 動物の行動の解明、不動産業者のツールとして、など多くの用途に使用されています。長くなるので、詳細については是非、次のブログ記事を掲載しておきますので、お時間のあるときに御覧ください。

Google Earth 15 周年を祝って
Google マップが目的地までの行き方を探すためのツールなら、Google Earth は目的地を決めずに探索するためのツールです。Google Earth を通じて、まるで宇宙飛行士のように宇宙から地球を眺めることができます。そして、画面をクリックかタップするだ...

実は日本政府も、オープン&フリー化を通じて宇宙データの活用を積極的に推進している。

経済産業省は2019年、政府の保有する人工衛星データを公開すべく、クラウド上のデータプラットフォーム「Tellus(テルース)」を開設。誰でも無料で衛星データを活用できる体制を整えました。

図3:Tellus

宇宙データなどを解析してソリューションを提供する企業は「アナリティクス企業」と呼ばれ、こうしたアナリティクス企業の活用は、今後もますます進み、宇宙という新たな市場、新時代のゴールドラッシュにいかにして乗るか注目されている。

宇宙からのデータやプラットフォームサービスを活用

日本は確かに米国に比較すると宇宙開発についてはかなり遅れていますが、米国の宇宙開発の方針や動向から言えることは、Star Xのように民営化されてくると、事業者はビジネスとして成り立つように宇宙からの様々なサービスをプラットフォーム化して一般に提供するようになります。つまり日本の企業も(世界中の企業)これらを利用して、自分たちのできる事業に活用することができるわけです。そういった意味で、衛星コンステレーションは、身近に自分たちの企業のDX化に利用して事業拡大などに利用するチャンスが有るわけです。