デジタル通貨/ブロックチェーン
ブロックチェーンの技術は最近あまり話題にはなっておりませんが、中国のデジタル人民元の話題が昨年末にメディアで大きくとりあげられました。 デジタル通貨は、「テクノロジーが世界の強国の派遣争いに大きな差をつける」 ほどの影響力を及ぼすようになった典型的な例でしょう。 詳細は添付資料に掲載しておりますが、要点についてここでは簡単に補足説明をしておきます。
(1) 中央集権と非中央集権
ブロックチェーンの技術の大きなポイントは、非中央集権的システムであることです。あまり、ITの世界では聞き慣れない言葉ではありますが、下図に示すように、現在の殆どのシステムは、サーバーであれ、クラウドであれ、中央に全体をコントロールするシステムが存在します。
これは、政治的組織でも同様であり、もし中央のコントローラーが故障や、消滅した場合には全体のシステムがダウンしてしまいます。 オンプレミスからクラウドに移行したときによく議論される大きなリスクの一つが、クラウドの中央システムがダウンすることです。 また、中央システムがハッキングされ、データ改竄などの被害を受けることもリスクのひとつとなっております。
ブロックチェーンの大きな特徴は、この中央集権と真逆の非中央集権のシステムであることです。 このシステムは中央の全体をコントロールするシステムを不要にすることになるので、これは、現存の中央システムを保有して絶対的な支配力を持っている会社や団体にとっては驚異となるわけです。
(2)外国送金の例
具体的な例でいえば、現在は、銀行が金融システムのなかで、資金の移動(送金)になくてはならない存在で、外国間送金ではコルレス銀行を経由させて莫大な手数料を受け取っているのですが、ブロックチェーンは、これをほぼ無料でなおかつ高速で処理できるようにしてしまいます。
下図にしめすように、仮想通貨 「リップルコネクト」では、中継銀行を通すことなく、送金側と着金側をマーケットメーカーで直結させることで手数料の大幅な削減、取引時間の大幅な短縮を実現するとともに、決済ルートの短縮化により、送金側にとってはプロセスの可視化、追跡が簡単となります。
これは、外国送金の分野についての一例に過ぎません。ブロックチェーンの技術はIOTなどの技術と結びついて将来的には極めて大きな産業レベルでのインパクトを与える事になると予測されています。(資料の経済産業省報告参照)
土地などの不動産の認証管理をしている法務局は、誰もが絶対なくならないと思われているでしょうが、ブロックチェーンは、法務局の機能を実質的に不要にしてしまう可能性があります。法治という観点からは存続するでしょうが、現在やっている主たる業務システムは不要となってくるわけです。最近話題になっている遺言の証明などの信託ビジネスも存在しなくなるかもしれません。