Robotics

ロボティックス

今年に入って、メディア報道でロボットのコロナへの適用例がよく紹介されるようになりました。特に、非接触の活動にはロボットの利用が不可欠になってきたようです。ここではロボティックスの現状と将来のインパクトについて説明いたします。

2022 Amecaという人間化したロボットが進化中

やはり、映画の世界にでてくるロボットが一番興味のあるところでしょう。最新のロボットAmecaのYouTube動画を御覧ください。

コロナ禍で脚光を浴びる宅配ロボット

コロナで、非接触の宅配が世界各国で普及をはじめました。これは、おそらくコロナが収束した後も継続して広がっていくことになるでしょう。これは、人が配達するという仕事がロボットに将来置き換えられるということです。宅配ロボットの種類も多種多様になり将来は、自動運転の車との連携も出てくると考えられ、輸送という仕事(ビジネス)が大きく様変わりするかもしれません。

2min (2倍速で1min)

ドローンでコンクリートの打音検査

ドローンも基本的にロボットの一つに分類されます。高所のコンクリートの打音検査は、人が行うのと比較すると効率が飛躍的に高まります。

飛躍的に進化したロボットの運動能力

昨年度、バク転するロボットをプレゼンで紹介しましたが、最近リリースされたビデオ(ダンスするロボットたち)を見ると、いかに人間に近づいてきたか!が理解できます。下記ビデオ、イヤフォンを使って音をオンにして是非見てください。内容はダンスですが、この動きを見て、ロボティックスがビジネスに与える影響を想像してみてください。

次のATLASのバク転は、将来どこまで進化するのか計り知れないと思わせてしまいます。

ロボットについては、産業用ロボットは数十年の歴史があり、だれもが知っていることとは思いますが、近年メカトロニクス技術の進化に加えてAIの進化により、別の次元のレベルになりつつあります。

ロボットの進化が加速

今までのロボットは、特定のパターンをメモリーに書き込んで、その動作を高速で正確に実行するというもので、状況が変わるたびに人間が新しい動作をおしえる(プログラム)必要がありました。その後、プログラムを自動化に近いかたちにするというものもあるようです。

Boston Dynamics社のロボットにより進化したAIを組み合わせると、もっと抽象的な命令を与えるだけで学習しながらロボット自体が進化するのが将来の形だと思われます。

ただ、これから十年先の自社の具体的なビジネスへの影響、そして利用という観点から以下いくつかアイデアをまとめてみました。

基地局建設・保守への応用

やはり最初に思いつくのは、ドローンを利用した高所(鉄塔)点検ではないかと思います。

屋外高所(鉄塔など)保守点検・設計

(ソフトバンク関連会社のHPより)

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これが完全実用化されると、単なる保守点検だけではなく、設計業務も自動化されるので、トータルでは非常に大きな時間と人件費のコストダウンになるだけでなく、危険作業も少なくなるので安全面からもメリットがあります。

電波強度の測定

モバイル基地局の環境で電波強度の測定はいろいろな目的で重要な作業の一つですが、もしドローンをつかって、自動的に3次元マップを生成することができると画期的な利便性を生むことになるでしょう。

ドローンを飛ばして3次元の地形データを生成することは既に実用化が終わっているので、同様のことを周波数が低い電磁波で行うことはそれほど困難ではないかもしれません。

UAV写真測量は次のステージへ。

屋内工事設計

このビデオは、自動でドローンが建物の内部外部をホバーリングして、3Dマップ(図面)を生成する実験です。これも実用化されると、設計者がサイトを訪問する必要がなくなります。5Gが日本全国にカバレッジを広げた場合、どこか一箇所(東京の事務所)にエンジニアがいて、現場には技術・スキルが必要ないローコストのリソースをおいておけばできることになります。こうすることで、リソースの有効活用と、コストダウンが可能になってくるのではないでしょうか。

Remote viewing & Mappingのよいところは、センター事務所からエンジニアが現場の見たいところにドローン操作をして、動画と写真撮影を含む計測ができることです。

DXソリューションビジネスとして

基地局建設という分野は非常に特殊、かつ限られたビジネス分野ですが、DXソリューションプロバイダーという観点から考えてみましょう。

一般の多くの製造業、物流業や、その他農業、漁業の分野について考えるとロボティックスの応用は無限にあることは間違いありません。少子高齢化の流れやインバウンドによるホテル業など国内サービス業の成長も合間って、国内企業の人材不足がより深刻になり、人が担ってきた分野をロボットに置き換えようとする動きは、ますます顕著になってきています。では、そのビジネスを自社の将来の目標とした場合のDXコンポーネントとしてのロボティックスについて、どのような知見が必要でしょう。

ロボット適用分野が産業分野からサービス分野に拡大中

自動車の製造分野で産業用ロボットが生まれ、人より正確に作業できるという製造業のプロセスを支援する過程で大きく発展し、ロボットは溶接工程だけでなく、ピッキングや組み立て、塗装などの多くのプロセスで採用されてきました。日本政府は2020年時点で製造分野にて使用されるロボットの市場規模を2倍(6,000億円から1.2兆円)と発表しています。

冒頭の例でも、コロナ対応で宅配ロボットの出現を掲載しましたが、適用分野が産業用からサービス部門に広がると、市場が一気に拡大することは間違いありません。

つい最近のニュースから(2/16) 中国製「猫型自動配膳ろぼっと」

(引用): 最新の配膳ロボットである【BellaBot】は、旧世代の配膳ロボットの優れた特性を継承してながら、人とロボット間の優れたコミュニケーション機能を新たに搭載しました。親しみのある会話、かわいいデザイン、弊社技術による日本語でのAI音声機能、マルチモーダルインタラクション(視覚・聴覚を含め、複数(multi)のコミュニケーションモード)、その他、多くの新機能を備えたネコ型自動配膳ロボット【BellaBot】は、ユーザーに前例のない配膳ロボット体験を提供することができます。

市場が拡大するということは、多くのソリューションとしてビジネスが存在することになります。

ロボットの種類とメーカーの知見

当たり前のことですが、現在活躍中のロボットメーカ、どんなロボットが現在あり、将来どのようなロボットが開発されるかの知見は必須でしょう。一昔前ではFanacなどの大手メーカーが独占していたわけですが、今では多くの日本企業、海外企業、特に中国企業との連携は必須となります。

おそらく産業用ロボットの分野は古くからありますが、それに加えて新規のサービス・ソリューション用のロボットが新規で狙い目になるのでしょう。

コミュニケーションロボットの例

PepperやDMMから提供されるPalmi(パルミー)、Tapia(タピア)

ここで、サンプルの知見として、すぐに調べられる内容を下記列挙します。

ロボットメーカー

産業用ロボット分野

売上高上位となっているのは、ABB、ファナック、川崎重工業、安川電機、KUKA

(1)ABB

【所在地】東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 22F

【営業品目】
・産業用ロボット
・変電所
・可変速ドライブ
・直流送電
・クレーンシステム
・ネットワークマネジメント

【特徴】
・スイスに本社を置く多国籍企業で4大産業用ロボットメーカーの1つ
・創業から130年以上にわたって技術革新を継続
・世界的なデジタル産業をリード
・プロセスとハイブリッド産業向けの幅広いソリューションを提供
・産業用ロボットに関して世界第2位
・石油ガス、電力、化学、鉱物、紙パルプの生産用機械、ロボットを採用

(2)ファナック

【所在地】山梨県忍野村
【営業品目】
・FA:CNC、サーボモータ、レーザ
・産業用ロボット:アームロボット、ロボドリル、ロボショット、ロボナノ
・製造業向けオープンプラットフォーム

【特徴】
・FA事業、ロボマシン事業、IoTプラットフォーム事業の三本柱
・製造の自働化と効率化を推進し、国内外の製造業発展に貢献
・より少ない部品で、商品の信頼性を高め、低いコストでつくる
全世界をカバーするサービスネットワーク
・高度に自働化された工場で製品を生産

(3)川崎重工業

【所在地】東京都港区海岸1丁目14-5
【営業品目】
・船舶海洋:LNG船、LPG船、潜水艦などの高付加価値船の開発、保守
・車両:新幹線をはじめとする電車、貨車、機関車、新交通システム
・航空宇宙:固定翼哨戒機、輸送機や宇宙機器の製造、
・エネルギー、環境プラント:各種産業プラントや環境保全設備の設計から販売
・モーターサイクル&エンジン:二輪車、四輪バギー車、ユーティリティビークルの製造、販売
・精密機器、ロボット:建設機械、産業機械、船舶用の油圧機械製造、自動車業界、電気、電子業界向けの溶接、組み立て、塗装、パレタイズロボットの供給

【特徴】
・1969年に国産初の産業用ロボット生産を開始
・高品質、高性能のロボット及び付加価値の高いソリューションを世界中に提供
・産業用ロボットメーカーのパイオニアとして様々な産業にカワサキロボットを供給
・多彩なサイズの汎用ロボット、スカラロボット、塗装ロボット、溶接ロボットなどさまざまな種類のロボットをラインナップ

(4)安川電機

【所在地】福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1

【営業品目】
・ACサーボ、コントローラ
・インバータ
・ロボット
・システムエンジニアリング
・物流サービス

【特徴】
・溶接ロボットや塗装ロボットなどの垂直多関節ロボットを主力に
・自動車関連市場を中心に大きなシェアを持っている
・自社開発のサーボ・コントローラ製品を活用
・広く使われるようになったメカトロニクスをはじめて提唱

(5)KUKA(独)

【所在地】神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町134
※KUKA College Japan K.K.の所在地

【営業品目】
・産業部門:産業用ロボット、オートメーション化
・オートモーティブ部門:エンジニアリング提供サービス
・コンシューマーグッズ&ロジスティクスオートメーション部門:倉庫及び配送センター向けソリューションの提供
・ヘルスケア部門:病院と薬局のプロセス及びシステムを最適化

【特徴】
1989年にドイツで誕生し、世界中に子会社を持つ世界的な企業
・世界をリードするオートメーション化のスペシャリスト
・ロボットコンポーネントからクラウドバースのITツールまで多種多様なサービスを提供
・自動車部品メーカー、工作機械分野、プラスチック産業、溶接工業などを重点化

4.産業用ロボットメーカーの比較

ソリューションを創造するためには、当然のことながらどこのロボットメーカーと提携するか検討が必要となるので、各メーカーを比較し、自社で使用するメーカーを選定する際には、重要点をまとめる作業が必要です。(これはあくまでサンプルのレベルなので実際にはもっと詳細検討が必要です)

・求めている製品を取り扱っているか?
・進出している地域に開発、生産拠点があるか? など

(1)取り扱い製品
産業用ロボットには溶接、塗装、搬送などさまざまな製品があります。
ロボットの種類ごとの取り扱い比較してみる。

ABBの主力製品は、多関節ロボットであるロボットアームで、20種類以上。また、人間と同じ空間で作業ができる協調ロボットや、その他さまざまな製品を取り揃えている。

世界市場で有名なファナックは、製品ラインナップも豊富、特に溶接ロボットに強み、新スポット溶接ロボットは、世界各国の自動車メーカで使われている。

川崎重工業は、全体的にバランスよくラインナップされている。会社がロボット専業ではない。総合力が、強み。

安川電機も幅広い製品を取り扱っており、組立から搬送に至るまで一連の作業を、複数台のロボットを上手く組み合わせることで実現できる。

KUKAの強みは垂直多関節ロボットのロボットアーム。

(2)日本での(世界での)プレゼンスと実績、進出地域
海外メーカーを使う場合は、日本拠点の充実度、本国の会社の日本市場にたいする方針など、より緻密な検討が必要です。


以上、超簡単に例を掲載しましたが、実際には自社とPartnerの間でのSOW(Scope of Work)分担をどうするのかなどを、自社の人材とレベルを見ながら慎重に決めることが重要となります。

このような具合で、ロボティックスのソリューションをDX componentの一つとして、自社のソリューションメニューに組み込むためには、かなり準備が必要ですが、これくらいのことは、どんなビジネスをやっても必要なことでしょう。なので、見方を変えると、当たり前の作業ということですが、計画的にかつシステマティックにやる必要があります。社内の「誰か、今いる若いもん」を見つけて、「頑張ってやれ」といった昔のやり方で投げつけるだけでは出来ないので注意が必要です。

協働ロボットメーカー

協働ロボットとは

私は知らなかったのですが、ロボットにも規制の枠がビジネスを阻んでいたのですね。(以下は参考のみ)

協働ろぼっととは、人と同じ空間で、一緒に作業を行うことができるロボット。産業用ロボットの一種です。
従来、モーターの定格出力が80Wを超える産業用ロボットは、安全を確保するために大きな柵でロボットを囲み、人と隔離した状態でなければ使うことが許されていませんでした。
その後2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、協働ロボットの普及が勢いを増しました。
事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。
厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より

人工人間(Artificial Human)

どうしても我々の世代は、ロボットとか人工知能とかの話になると、はるか未来のSF物語と自動的に脳が反応して、現実の自分たちの事業や仕事と結びつけて考えることをしないのが一般的でしょう。コロナの世界的なパンデミックが起こるとは誰もが予測しなかったけれど発生しました。Singularityも未来学者の物語ではないかもしれません。ロボットは既に身近な存在になりつつあります。

たとえば具体的な例を揚げると、最近日本全国で様々な通信事業者が5G基地局の工事を行っておりますが、ほぼすべての工事会社は基本的に人海戦術でやっていると思います。プロジェクト管理にITツールを少し使っているかもしれませんが、ほとんどがエクセルベースで管理しているのではないかと推察されます。事務作業やプロジェクト管理をRPAなどでオートメーションすることは当然ですが、それに加えて、ロボティックスの技術を、組み合わせると著しく生産性を上げることができると考えられます。協働ロボットは既に導入が始まっておりますので、そう遠くない時期にいくつかの会社が始めることと思います。次の記事はちょっとアカデミックな説明ですが、もっと未来を見据えたカートナーなどの研究です。

ロボットの進化系「人工人間」に向けた3つのアプローチ、人と技術はどう融合するか?
頭脳だけでなく身体や感情などもテクノロジーで具現化を目指す、いわばロボットの進化系である「人工人間(Artificial Human)」の進化が著しい。そして、その先に像を結びつつあるのが、能力向上に向けた人と技術との融合、すなわちヒューマン・オーグメンテーション(Human Augmentation)関連の技術群だ。...

最近のロボティックス展示会よりのレポートを紹介

【2025年1月東京】ロボデックス | ロボット [開発]・[活用] 展
【出展募集中】2025年1月22日から1月24日に東京ビッグサイトにて開催。産業ロボット、AMR/AGV、アシストスーツ、ロボットビジョンなどが出展するロボット専門展。人手不足問題などを解決する最新ロボットの実物・デモを見ることができます。

建設業界にもロボティックスが来る

ロボットは工場や物流センターのような特殊環境でつかわれるものという理解が、近い将来変わっていくことでしょう。つまり、我々建設業界にも入ってくることは確実です。最初は、既に紹介したドローンの保守点検分野(これは既に確定で、どれだけ早く普及するか)基地局建設でも災害時には必須の設備になるでしょうし、設計の大幅工数削減にも使われるでしょう。また、工材の設計から加工までかなり大きな生産性革命が起こりうると予測しています。

RX(Robotics Transformation)

心の準備を

今月は、DXの多くの要素のなかでロボティックスを取り上げました。重要なポイントをいくつかピックアップして掲載しました。現在は、未来どころではなく、3月の売上を確定させるのが最優先であります。そういった実情の中ではありますが、未来に向けて、心の準備だけはしておくのがよいと思います。

Appendix 多種多様なロボット(YouTube動画集)

ヒト型ロボットの増加

だんだんヒトに似た形状のロボットが増えています。作業するにあたり、別にヒトの形をしていなくてもいいと思うのですが、よくよく考えてみると、人間の体の形状や構成は実はかなり高度な設計になっていることがわかってきたのではないかと思います。

癒やし系ロボットが流行っているのもロボットの多様化の象徴かも知れません。

中国 Unitree robotics ほぼBoston Dyanamicsのまね?

韓国の巨大ガンダム型ロボット

建設工事に将来は活躍すると思われる

バイオニック